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起直
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おきなお
ふりがな文庫
“
起直
(
おきなお
)” の例文
忽
(
たちま
)
ち格子戸につけた鈴の音と共に男の声のするのを聞きつけて耳をすますと、思いがけない清岡の声なので、君江はびっくりして
起直
(
おきなお
)
った。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼
(
かれ
)
はどっかり
坐
(
すわ
)
った、
横
(
よこ
)
になったがまた
起直
(
おきなお
)
る。そうして
袖
(
そで
)
で
額
(
ひたい
)
に
流
(
なが
)
れる
冷汗
(
ひやあせ
)
を
拭
(
ふ
)
いたが
顔中
(
かおじゅう
)
焼魚
(
やきざかな
)
の
腥膻
(
なまぐさ
)
い
臭
(
におい
)
がして
来
(
き
)
た。
彼
(
かれ
)
はまた
歩
(
ある
)
き
出
(
だ
)
す。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「先生、永々の御介抱、甚太夫
辱
(
かたじけな
)
く存じ申す。」——彼は蘭袋の顔を見ると、
床
(
とこ
)
の上に
起直
(
おきなお
)
って、苦しそうにこう云った。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と声をかけた
美女
(
たおやめ
)
は
起直
(
おきなお
)
った。今の姿をそのままに、
雪駄
(
せった
)
は獅子の蝶に飛ばして、土手の草に
横坐
(
よこずわ
)
りになる。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
明智はそう云って、大丈夫だということを示す為に、ソファの上に
起直
(
おきなお
)
って、真直に腰かけて見せた。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
一日一日と幽里子は健康を回復して、二週間目にはもうベッドの上に
起直
(
おきなお
)
っておりました。
奇談クラブ〔戦後版〕:05 代作恋文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は
床
(
とこ
)
の上に
起直
(
おきなお
)
って見ていると、またポッと出て、
矢張
(
やっぱり
)
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
の方へフーと行く、すると間もなくして、また出て来て消えるのだが、そのぼんやりとした
楕円形
(
だえんけい
)
のものを見つめると
子供の霊
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
が、見れば和尚も若僧もわが枕辺にいる。何事が起ったのか、その意味は分らなかった。けげんな心持がするので、
頓
(
とみ
)
には言葉も出ずに
起直
(
おきなお
)
ったまま二人を見ると、若僧が先ず口をきった。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
痩骨
(
やせぼね
)
のまだ
起直
(
おきなお
)
る力なき 邦
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
或者は裾踏み乱したるまま
後手
(
うしろで
)
つきて
起直
(
おきなお
)
り、
重箱
(
じゅうばこ
)
の菓子取らんとする
赤児
(
あかご
)
のさまを
眺
(
なが
)
め、或者は
独
(
ひと
)
り
片隅
(
かたすみ
)
の壁によりかかりて三味線を
弾
(
ひ
)
けり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
お鳥は
起直
(
おきなお
)
ると、
必死
(
ひっし
)
と、郷太郎の裾に
絡
(
から
)
み付きました。
裸身の女仙
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
純綿の
一声
(
ひとこえ
)
に、寝ている踊子も
起直
(
おきなお
)
って、一斉に品物のまわりに
寄集
(
よりあつま
)
る騒ぎ。廊下を歩み過ぎる青年部の芸人の中には、前幕の化粧を洗いおとしたばかり。
勲章
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
愚僧は地上に落ち候まゝ、
殆
(
ほとん
)
ど気絶も致さむばかりにて、
漸
(
ようや
)
く
起直
(
おきなお
)
り候ものゝ、烈しく腰を打ち、その上片足を
挫
(
くじ
)
き、
四
(
よ
)
ツ
這
(
ばい
)
になりて人知れず
寝所
(
しんじょ
)
へ戻り候仕末。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
起
常用漢字
小3
部首:⾛
10画
直
常用漢字
小2
部首:⽬
8画
“起”で始まる語句
起
起臥
起居
起上
起伏
起重機
起請
起因
起出
起請文