はなし)” の例文
サウシの『随得手録コンモンプレース・ブック』二に、衆蛇に咬まれぬよう皮に身をつつみ、蛇王に近づきち殺してその玉を獲たインド人のはなしあり。
この物語をただ北の雪空の下に生れた美しい虚妄のはなしとばかり思っていたのは間違いでした。思い返してみれば、この頃の私のために作られた譚でした。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
亞拉比亞夜話アラビヤンナイト曾邊伊傳ソベイデはなしや、西洋奇談の魔法使ひや、驢馬にされた西藏王子の話を聞かして貰つて
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
それからといふものは、今迄ちかづき兼ねてゐた子供等まで、理髪店の店を遊場にして、暇な時にはよく太閤記や義経や、蒸汽船や加藤清正のはなしを聞かして貰つたものだ。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
私の手元には此の写真(さきはなしに云へる民友社の揷絵に似たるもの是也)一枚だけしか有りませむ。
といふことは物のはなしにも聞いてゐたし、また実際、ついその頃まで田舎の漁師村の、日焼け汐焼けのした女ばかり見てゐた私の眼には、誰も彼も皆その様に思はれたが
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
二つとも、ものあわれなはなしだが、吉原の怪談といえば、おなじようなのがいくらもあります。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かくして一週間も経たれども、何の怪しきこともなく、彼はただ戦場のはなし、浮世話を阿園に語り聞かせ、夜くればその家に帰り、かつて午夜過ぐるまでいたることなければ
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
このおはなしは、わたしが少年の頃に、安寧寺と云ふお寺の和尚さんから聞いたお譚です。
黄金の甕 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
さてこの号には、利吒りた阿利吒ありた兄弟のはなしを載すべし。
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
河原に待せ其身は取て返しける時に昌次郎夫婦は出立のあと火打ひうちのこつて有る故急ぎ忘れしと見えたりとゞくれんと親の上臺は後よりたづさへはせたりしが昌次郎とは往違ゆきちがひに成たり偖又はなしかはつて此猿島河原は膝丈の水成しが一人の雲助わかき女を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
異國いこくはなしおほかれども
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
グベルナチス説に月女神ルチナは兎を使い出産を守る。パウサニアスに月女神浪人都を立てんとする者に教え兎が逃げ込む林中に創立せしめたはなしを載す。
かれは再び横になりて謹聴きんちょうせり。学生は一笑いっしょうしてのちくだんはなしを続けたり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はなしは活きて遺りける。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
事実か否は判らないが、柳田氏の書に引いた他のはなしなみになら十分通ると察する。これで日本にて狼が人の子を育てたり、食わずに人に養わせたりの話が皆無でないと知るべし。
はなしきてのこりける。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そのはなしにも竜神の伝説同様、旅僧が小判多く持ったとばかり言うて、金作りの鶏と言わず、熊野のはなしは東北国のより新しく作られ、その頃既に金製の鶏を宝とする風なかったものか。
その破目われめを舐めたとあるから、定めて舐めてなおしたのだろ、これらでこの竜王寺のはなしは、全く後世三井寺の鐘の盛名を羨んで捏造された物と判りもすれば、手箱から鐘が出て水に沈むとか