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蕁麻
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いらくさ
ふりがな文庫
“
蕁麻
(
いらくさ
)” の例文
夢の中でも、私は、強情な植物共の
蔓
(
つる
)
を引張り、
蕁麻
(
いらくさ
)
の
棘
(
とげ
)
に悩まされ、シトロンの針に突かれ、蜂には火の様に
螫
(
さ
)
され続ける。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
しかしこれと比べて柔かいなと言われたムシブスマとても、
蕁麻
(
いらくさ
)
で製したとすれば相応にこわ張ったものであった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それはごく新しくしるされたもので、その線はまっ黒な古い
漆喰
(
しっくい
)
の中に白く見えており、壁の根本にある
一叢
(
ひとむら
)
の
蕁麻
(
いらくさ
)
は新しい漆喰の粉をかぶっていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
少女たちが瘠せ細りながらも神経がやや脂肪づき、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
卯薔薇
(
うばら
)
ほどの花になつて咲く年齢になつても、明子だけは依然色を
失
(
な
)
くした
蕁麻
(
いらくさ
)
として残つた。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「ただ、
蕁麻
(
いらくさ
)
に刺されただけですよ、あの亡くなつた祭司長の言ひぐさではないが、この
毒蛇
(
まむし
)
みたいな草にね。」
ディカーニカ近郷夜話 前篇:03 ソロチンツイの定期市
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
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なかば焼けなかば腐った大きな木の
梁
(
はり
)
が、廃墟全体を区分けしているのを見た、やがて焼かれて打ち砕かれた建物の残骸の中に立ってみると、雑草や
蕁麻
(
いらくさ
)
が
秘密礼拝式
(新字新仮名)
/
アルジャーノン・ブラックウッド
(著)
さてこの一行が、籬の
蕁麻
(
いらくさ
)
や
山牛蒡
(
やまごぼう
)
の中に眠っているリザヴェータの姿を見つけたというわけである。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
時のたつのは何と早いものだろう! オーレンカの家は
煤
(
すす
)
ぼけて、屋根は
錆
(
さ
)
び、納屋はかしぎ、庭には丈の高い雑草や
刺
(
とげ
)
のある
蕁麻
(
いらくさ
)
がいっぱいにはびこってしまった。
可愛い女
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その頭上には
梣
(
とねりこ
)
や
槲
(
かし
)
が、半かけの月光や星の光を、枝葉の隙からわずか
零
(
こぼ
)
し、
野葡萄
(
のぶどう
)
や
木賊
(
とくさ
)
や
蕁麻
(
いらくさ
)
や
芒
(
すすき
)
で、おどろをなしている地面の諸所へ、銀色の斑紋を織っていた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼女の連れは、ゆっくりあとから歩いて行き、うす暗がりから抜け出して、彼女がまわりにはびこった草や
蕁麻
(
いらくさ
)
の中に両脚を隠して、井戸の端にすんなり腰かけているのを見た。
井戸
(新字新仮名)
/
ウイリアム・ワイマーク・ジェイコブス
(著)
蕁麻
(
いらくさ
)
で織った贖衣を素肌に着、断食をし、滝のように涙を流して懺悔の
祈祷
(
いのり
)
をする。
葡萄蔓の束
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
キヤベツや薔薇の藪にたかつてゐる木虱は緑色をしてゐるし、接骨木や、豆や、けしや、
蕁麻
(
いらくさ
)
や、柳、ポプラのは黒、樫と
薊
(
あざみ
)
のは青銅色、夾竹桃や
胡桃
(
くるみ
)
とか
榛
(
はんのき
)
とかにつくのは黄色だ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
小屋にはもう戸がないからだ。ひと
叢
(
むら
)
の
蕁麻
(
いらくさ
)
がひょろ長く伸びて、
閾
(
しきい
)
をかくしている。で、にんじんが腹這いになってそれを眺めると、まるで森のようだ。細かい
埃
(
ほこり
)
が土を
覆
(
おお
)
っている。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
それから海蜈蚣すなわちゴカイが人を
咬
(
か
)
めば毒あるのみならず触れても
蕁麻
(
いらくさ
)
に触れたように痛むというた、十二年前東牟婁郡勝浦港に在った時、毎度その近傍の綱切島辺の海底に黄黒斑で二
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
○
翁
(
おきな
)
がかくかたりし時
牧之
(
ぼくし
)
いらの
形状
(
けいじやう
)
をくはしくきかざりしが、
后
(
のち
)
に
案
(
あんず
)
るにいらとは
蕁麻
(
いらくさ
)
の事なるべし、
蕁麻
(
たんま
)
は本草に見えたる
草
(
くさ
)
の名也。
麻
(
あさ
)
の字に
熟
(
じゆく
)
したれば
麻
(
あさ
)
に
替
(
かへ
)
ても用ふべきものなるべし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「いはらき」は我目正しけば
蕁麻
(
いらくさ
)
の手にも觸るべくあらざるが如
長塚節歌集:2 中
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
その少女たちが
蕁麻
(
いらくさ
)
の明子をどうして
嗅
(
か
)
ぎつけずにゐよう。彼女らの或る者は嗅ぎつけない前に、この蕁麻に皮膚を破られて痛々しく貧血質の血を流した。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
この可哀さうな男はどうかしてその悲しみを払ひ落さうと思つたのだが、それは無駄なことだつた。火酒はまるで
蕁麻
(
いらくさ
)
のやうに彼の舌を刺して、
苦蓬
(
にがよもぎ
)
の汁よりも苦く思はれた。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:04 イワン・クパーラの前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
男は連れのよろめきがちな足どりを助けながら、崩れた煉瓦組みの山を越えて、小道の方へ行った、
蕁麻
(
いらくさ
)
が手をちくちく刺し、ハリスは夢の中にいるような気分で道をたどった。
秘密礼拝式
(新字新仮名)
/
アルジャーノン・ブラックウッド
(著)
蕁麻
(
いらくさ
)
が氷河の上に生じないごとく、卑しい考えは一つもそこに生ずることを得ない。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
潮滿つと波打つ磯の
蕁麻
(
いらくさ
)
の茂きがなかにさける濱木綿
長塚節歌集:2 中
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
にんじんは心の中でいう——「そうそう、ひっぱたけ!
蕁麻
(
いらくさ
)
でもへし折るがいい。
秣掻
(
まぐさか
)
きの
真似
(
まね
)
でもしろ! もしおれが兎で、溝のくぼみか、葉の蔭に
棲
(
す
)
んでいるんだったら、この暑さに、ひょこひょこ出かけることはまず見合わせだ!」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
三二
蕁麻
(
いらくさ
)
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
瀝青
(
チャン
)
を塗った柳編みの屋根のついてる一種の従軍行商人の小さな車のようなものが止まっていて、
轡
(
くつわ
)
をつけたまま
蕁麻
(
いらくさ
)
を食ってる飢えたやせ馬がそれにつけられていて、その車の中には
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
道や広い
蕁麻
(
いらくさ
)
の茂みの中を玉のやうに転がつてゆく。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
階段のうちに包囲されて上連に追いつめられたイギリス兵は、下連の階段を切り落としてしまった。
蕁麻
(
いらくさ
)
のうちに
堆
(
うずたか
)
くなってる青い大きな板石がそのなごりである。十段ばかりはまだ壁についている。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
その気味悪い
蕁麻
(
いらくさ
)
はこの
百合
(
ゆり
)
を愛して保護してきたのであった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
井戸のまわりや壁の下の方は、一面に
蕁麻
(
いらくさ
)
におおわれている。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
蕁
漢検1級
部首:⾋
15画
麻
常用漢字
中学
部首:⿇
11画
“蕁麻”で始まる語句
蕁麻疹