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葉蘭
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はらん
ふりがな文庫
“
葉蘭
(
はらん
)” の例文
取り上げて、
障子
(
しょうじ
)
の方へ向けて見る。障子には植木鉢の
葉蘭
(
はらん
)
の影が暖かそうに写っている。首を
曲
(
ま
)
げて、
覗
(
のぞ
)
き込むと、
杢
(
もく
)
の字が小さく見える。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし、直ぐ金剛石のことを思い出すと裏へ廻って行って、
夕闇
(
ゆうやみ
)
の迫った
葉蘭
(
はらん
)
の傍へ
蹲
(
うずくま
)
って、昼間描いておいた小さい円の上を指で
些
(
ち
)
っと
圧
(
おさ
)
えてみた。
火
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
コンクリートの階段と
手摺
(
てす
)
りとがあり、階段の上がり口には
蘇鉄
(
そてつ
)
や寒菊や
葉蘭
(
はらん
)
などの鉢が四つ五つ置いてあった。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
捨吉が水を打つ度に、奥座敷に居る人達は皆庭の方へ眼を移した。
葉蘭
(
はらん
)
なぞはバラバラ音がした。
濡
(
ぬ
)
れた庭の土や石は
饑
(
う
)
え
渇
(
かわ
)
いた水を吸うように見る間に乾いた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「その折りのまんまでね」芳造はいそいで話をそらした、「皿へのっけて蒸すんだって、
葉蘭
(
はらん
)
が敷いてあるから、蒸しあがったら折りから出さずに、喰べるんだそうです」
枡落し
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
母家
(
おもや
)
から別れたその小さな低い
鱗葺
(
こけらぶき
)
の屋根といい、竹格子の窓といい、
入口
(
いりくち
)
の杉戸といい、殊に手を洗う縁先の
水鉢
(
みずばち
)
、
柄杓
(
ひしゃく
)
、その
傍
(
そば
)
には極って
葉蘭
(
はらん
)
や
石蕗
(
つわぶき
)
などを
下草
(
したくさ
)
にして
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
旧幕の
比
(
ころ
)
であった。江戸の山の手に住んでいる
侍
(
さむらい
)
の一人が、某日の
黄昏
(
ゆうぐれ
)
便所へ往って手を洗っていると
手洗鉢
(
ちょうずばち
)
の下の
葉蘭
(
はらん
)
の間から
鬼魅
(
きみ
)
の悪い紫色をした小さな顔がにゅっと出た。
通魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
背後
(
うしろ
)
は森で、すぐに、そこに、墓が、
卒塔婆
(
そとば
)
が、と見る目と一所に、庵の小窓に、少し乱れた
円髷
(
まるまげ
)
の顔が
覗
(
のぞ
)
いて、白々と、ああ、藤の花が散り澄ますと思う、窓下の
葉蘭
(
はらん
)
に沈んで
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
沢崎は席に就く前に、
薄端
(
うすばた
)
に
未生
(
みしょう
)
流らしい
矯
(
た
)
め方をした
葉蘭
(
はらん
)
が
活
(
い
)
けてある床の間を向いて
跪
(
ひざまず
)
き、掛軸の書を丹念に打ち眺めている様子であったが、幸子と雪子とはその
隙
(
すき
)
に彼の後姿へ眼を
遣
(
や
)
った。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
すぐ眼の下の
汀
(
みぎわ
)
に
葉蘭
(
はらん
)
のような形をした草が一面に生えているが、その葉の色が血のように紅くて、蒼白い月光を受けながら、あたかも自分で発光するもののように透明に紅く光っているのであった。
夢
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
煤掃
(
すすはき
)
の
埃
(
ほこり
)
しづまる
葉蘭
(
はらん
)
かな 子規
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
袖垣
(
そでがき
)
に
辛夷
(
こぶし
)
を添わせて、
松苔
(
まつごけ
)
を
葉蘭
(
はらん
)
の影に畳む上に、切り立ての
手拭
(
てぬぐい
)
が春風に
揺
(
ふ
)
らつくような所に住んで見たい。——藤尾はあの家を貰うとか聞いた。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこには
葉蘭
(
はらん
)
が沢山
生
(
は
)
えていたので、その一本の茎を中心に小さい円を描いておいた。彼は、こうしておけば直きに金剛石が大きくなるにちがいないと思われた。
火
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
“葉蘭(ハラン(植物))”の解説
ハラン(葉蘭、学名: Aspidistra elatior Blume, 1834)とは、スズラン亜科 キジカクシ科(クサスギカズラ科) ハラン属の常緑多年草で、巨大な葉を地表に立てる植物である。古名は馬蘭(バラン)。
(出典:Wikipedia)
葉
常用漢字
小3
部首:⾋
12画
蘭
漢検準1級
部首:⾋
19画
“葉”で始まる語句
葉
葉巻
葉鶏頭
葉末
葉蔭
葉書
葉越
葉叢
葉摺
葉山