“花菜(はなな)” の例文
いかで見(み)むとて寢(ね)もやらず、美(うつく)しき懷(ふところ)より、かしこくも密(そ)と見參(みまゐ)らすれば、其(そ)の上(うへ)に尚(な)ほ女夫(めをと)雛(びな)の微笑(ほゝゑ)み給(たま)へる。それも夢(ゆめ)か、胡蝶(こてふ)の翼(つばさ)を櫂(かい)にして、桃(もゝ)と花菜(はなな)の乘合(のりあひ)船(ぶね)。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
平(ひら)は小鯛(こだい)の骨抜四尾。独活(うど)、花菜(はなな)、山椒(さんしょう)の芽、小鳥の叩き肉。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
お米(よね)さんが、送(おく)つて出(で)ました。花菜(はなな)の中(なか)を半(なかば)の時(とき)、私(わたし)は香(か)に咽(むせ)んで、涙(なみだ)ぐんだ聲(こゑ)して
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
で、その小さなのを五、六本。園女(そのじょ)の鼻紙の間に何とかいう菫(すみれ)に恥よ。懐にして、もとの野道へ出ると、小鼓は響いて花菜(はなな)は眩(まばゆ)い。影はいない。——彼処(かしこ)に、路傍(みちばた)に咲き残った、紅梅(こうばい)か。いや桃だ。
若菜のうち (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雛(ひな)——女夫雛(めおとびな)は言うもさらなり。桜雛(さくらびな)、柳雛(やなぎびな)、花菜(はなな)の雛、桃の花雛(はなびな)、白と緋(ひ)と、紫(ゆかり)の色の菫雛(すみれびな)。鄙(ひな)には、つくし、鼓草(たんぽぽ)の雛。相合傘(あいあいがさ)の春雨雛(はるさめびな)。小波(ささなみ)軽く袖(そで)で漕(こ)ぐ浅妻船(あさづまぶね)の調(しらべ)の雛。五人囃子(ごにんばやし)、官女(かんじょ)たち。
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)