置去おきざ)” の例文
いゝよ親方おやかたからやかましくつてたら其時そのときこと可愛想かあいさうあしいたくてあるかれないとふと朋輩ほうばい意地惡いぢわる置去おきざりにてゝつたと
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つまらねえことを腹ア立てやアがつて、たつた一人の血を分けた兄のおれ置去おきざりにしやアがつてよ、れとふのもおれが悪いばつかりだ、あゝ口惜くやしい
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
不思議に継子さんのことがひどく不安になつて来ましたので、乗らうか乗るまいかと考へてゐるうちに、汽車はわたくしを置去おきざりにして出て行つてしまひました。
否々少しにても疵は大切たいせつなり自然しぜん等閑なほざり波傷風はしやうふうにもならば容易ならず先兎も角も先刻の茶屋迄御同道ごどうだう申ての事なりサア遠慮ゑんりよに及ばず此駕籠このかごのられよと今惡漢どもの置去おきざりにせし駕籠を引寄ひきよせ浪人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
置去おきざびとや海賊や埋められた黄金おうごん
小児こどもの癖に気のあらい重蔵は、木挽の職人と何か喧嘩をした結果、同じく気の早い職人は「どうでも勝手にしろ。」と、山小屋に重蔵一人を置去おきざりにして帰ってしまった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
岩田屋いはたや旦那だんなれられてはまつて、まつさんと喧嘩けんくわアしてかへつてた時になんとおひだえ、あゝ口惜くやしい、真実しんじつ兄弟きやうだいにまで置去おきざりにされるのもおれが悪いばかりだ
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼奴あいつが、おれ置去おきざりにして先へけへりやアがつたが、岩田屋いはたやさんは親切だから此方こつちな、はま贔屓強ひいきづええからなんでもねえとおつしやるので、ほか手曳てひきがねえからまつれていくと
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
が、蛇の申子もうしごと噂された程のお杉の執念は、あくまでも夫に附纏つきまとうて離れなかった。彼は幾度いくたびかお杉を置去おきざりにして逃げようと企てたが、何日いつも不思議にの隠れ家を見付みつけ出された。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)