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罐詰
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かんづめ
ふりがな文庫
“
罐詰
(
かんづめ
)” の例文
新字:
缶詰
教訓を、
罐詰
(
かんづめ
)
にしないで
生
(
なま
)
のままに身につけること、そうだ、そうだ、と悟浄は今一遍、
拝
(
はい
)
をしてから、うやうやしく立去った。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
藁
(
わら
)
の上に毛布で寝る寝台を見、牛肉の
罐詰
(
かんづめ
)
が日清戦役のときからの貯蔵品であることを認めて、これは造兵機構の驚異であり
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
背にかついでる大きな
梱
(
こり
)
の中には、あらゆる物がはいっていた、香料品、紙類、糖菓類、ハンケチ、
襟巻
(
えりまき
)
、
履物
(
はきもの
)
、
罐詰
(
かんづめ
)
、
暦
(
こよみ
)
、
小唄
(
こうた
)
集、薬品など。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
壜詰
(
びんづめ
)
、
罐詰
(
かんづめ
)
、その他の箱詰があり、浦賀奉行への贈り物があったが、これらの品々は江戸へ伺い済みの上で、浦賀の波止場で焼きすてたくらいだ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
食料は
米味噌
(
こめみそ
)
、そのほかに
若布
(
わかめ
)
切り干し塩ざかななどはぜいたくなほうで、
罐詰
(
かんづめ
)
などはほとんど持たない。野菜類は現場で得られるものは利用する。
地図をながめて
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
おかみさんからアメリカの
罐詰
(
かんづめ
)
の殻を、おもちゃ代りにもらって、それを叩いたりころがしたりしておとなしく六畳間の隅で遊んでいたようでした。
ヴィヨンの妻
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「いいえ。いつも手紙を往復しておりますの。それからタッタ一人の兄も東京で一旗上げると言って今、丸ビルの中の
罐詰
(
かんづめ
)
会社に奉公しております」
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
罐詰
(
かんづめ
)
の
蓋
(
ふた
)
」をあけて、外気を室内に吹き入れしめるときに「ああ、目がさめた」と思う代わりに「よくおれは
蘇生
(
そせい
)
したものだ」と思うのであった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
風車の別荘に
罐詰
(
かんづめ
)
とされた商策の
捕虜
(
ほりょ
)
たちは、理平のたくみな歓待に日を忘れて、出帆の朝の間際まで、完全に、二日二晩を、そこで沈酔していた。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
次郎と運平老とが剣道をすまして帰って来ると、またみんなが茶の間に集まって、パイナップルの
罐詰
(
かんづめ
)
をあけた。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
さきほど用意したまま出しそびれていた
蜜柑
(
みかん
)
の
罐詰
(
かんづめ
)
が彼の目にとまった。それを皿に盛って妻の枕頭に置くと
美しき死の岸に
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
まあ私は
罐詰
(
かんづめ
)
という形ね。岩谷もあの時分は何か少し
感染
(
かぶ
)
れていたようだわ。お前さえその気なら、話は後でつけてやるから、松の家へ
還
(
かえ
)
るなというのよ。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
家の裏手に真二郎のやっている
罐詰
(
かんづめ
)
工場があった。工場と言っても小規模のもので、
漁
(
りょう
)
のない冬は休んでいる。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
私は、
罐詰
(
かんづめ
)
の箱をいっぱい積んでいる自動車を見ると、矢もたてもたまらなくなって大きい声で呼んでみた。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
食物としては米、味噌が主で、味噌の実にはそこらに生えている植物をつかった。
罐詰
(
かんづめ
)
類は重いので、せいぜい福神漬か大和煮を、それもたくさんは持っていかず、動物性
蛋白
(
たんぱく
)
質は
干鱈
(
ほしだら
)
だった。
飢えは最善のソースか
(新字新仮名)
/
石川欣一
(著)
電文は、ブレストの一カフェが
鰯
(
いわし
)
の
罐詰
(
かんづめ
)
を註文している文章だった。何ダース、何月何日の何時に着くように、どうやって送ること——そして、ロッテルダムからは、暗号電報が海底深く消え去る。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
遊佐が
弄
(
まさぐ
)
れる半月形の
熏豚
(
ハム
)
の
罐詰
(
かんづめ
)
も、この
設
(
まうけ
)
にとて
途
(
みち
)
に求めしなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「陸軍で輸卒をしたっけだが、あとは土方をやったり
罐詰
(
かんづめ
)
工場に雇われたり、
海苔
(
のり
)
のひび運びをしたりしていただ、それが何年めえになるだかな」
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
鰮
(
いわし
)
の
罐詰
(
かんづめ
)
の内部のような感じのする部屋であった。低い天井と床板と、四方の壁とより外には何にも無いようなガランとした、湿っぽくて、
黴臭
(
かびくさ
)
い部屋であった。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
人によると近所の店屋で得られると同じ
罐詰
(
かんづめ
)
などを、わざわざここまで買いに来るということである。
丸善と三越
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それが売れない山と同じに先を越されて
罐詰
(
かんづめ
)
になっており、下手をすれば親類合議で準禁治産という手もあり、
妄動
(
もうどう
)
して叔父たちの
係蹄
(
わな
)
にかからないとも限らないのであった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「こんな田舎じゃ
何物
(
なんに
)
も
進
(
あ
)
げるようなものが無い。
罐詰
(
かんづめ
)
でも買いにやろうか」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
これからは何も忘れて、このお母さまに、たくさんたくさんご
馳走
(
ちそう
)
をこしらえて差し上げよう。おさかな。スウプ。
罐詰
(
かんづめ
)
。レバ。肉汁。トマト。卵。牛乳。おすまし。お豆腐があればいいのに。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
罐詰
(
かんづめ
)
工場でも、役場の待合所でも、根戸川亭でも、堀南の洋食屋「四丁目」でも、漁師や船頭だけではなく、住民がちょっと四五人も集まれば集まったところで
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その
三原山
(
みはらやま
)
行きの糧食としてN先生が
青木堂
(
あおきどう
)
で買って持って行ったバン・フーテンのココア、それからプチ・ポアの
罐詰
(
かんづめ
)
やコーンド・ビーフのことを思い出したので
詩と官能
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そこを出てから、途中で室に別れた浅井夫婦は、このごろ、根岸の別荘を売り払って、神田の通りへ洋酒や
罐詰
(
かんづめ
)
、
莨
(
たばこ
)
などの店を開けた、隠居の方へちょっと立ち寄ってから、家へ帰った。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
こないだアメリカから配給になった
罐詰
(
かんづめ
)
のグリンピイスを裏ごしして、私がポタージュみたいに作ったもので、もともとお料理には自信が無いので、お母さまに、いいえ、と言われても、なおも
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
罐詰
(
かんづめ
)
の
蓋
(
ふた
)
のところへ行って読み始めた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
貝の
罐詰
(
かんづめ
)
工場と、貝殻を焼いて石灰を作る工場と、冬から春にかけて無数にできる海苔干し場と、そして、魚釣りに来る客のための釣舟屋と、ごったくやといわれる小料理屋の多いのが
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
罐詰
(
かんづめ
)
でしたらかりんに
蜂
(
はち
)
の子、それに
高野
(
こうや
)
豆腐だの
氷餅
(
こおりもち
)
だの。」
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
罐
部首:⽸
23画
詰
常用漢字
中学
部首:⾔
13画
“罐詰”で始まる語句
罐詰屋
罐詰工場