皆様みなさん)” の例文
旧字:皆樣
皆様みなさんお早う御座います」と挨拶するや、昨日きのうまで戸外そとに並べてあった炭俵が一個ひとつ見えないので「オヤ炭は何処どっかへ片附けたのですか」
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「そうですか、皆様みなさんにもうかねておことわりがしてあるんだのに、何かこういう御心配をなさるから困るよ、ああ、とかく御婦人方は、」
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「銀子さん、皆様みなさんは私の独身主義を全然まるで砂原の心かの様に思つて下ださいますけれど、——すべては神様が御承知です」梅子はハンケチもて眼をおほひつ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「どうです、皆様みなさん、尾崎君もあんなに恐れ入つて恥かしがつてゐますから、まあ今日はこれで許してやりませう。」
皆様みなさんお上手よ。私なんか今迄余り加留多も取つた事がないもんですから、敗けてばつかり。』と嫣乎につこりする。ほつれた髪が頬に乱れてる所為せゐか、其顔が常よりも艶に見えた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
馬「妙々梅と桜で六百出しゃ気儘か、宜しい…皆様みなさん先へ入らっしゃい…じゃア婆さん此金これで」
皆様みなさん——諸君、此れから面白い手品を御覧に入れます。入場料は一人十銭です」
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「先生、もう皆様みなさんがお待ち兼ねですから、呼びにまいりました」
稀有の犯罪 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
不断、皆様みなさんで可愛がってくれますし、お夏さんも贔屓ひいきにして下すったもんだから、すぐにその何でさ、二階の座敷へ上りました。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
学校時代の私は、銀子さん、貴女御存ごぞんじ下ださいますわねエ——の一時バイロン流行の頃など、貴女を始め皆様みなさんしきりに恋をお語りなさいましたが
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
『休暇で帰るのに見送みおくりなんかて貰はなくツてもいと言つたのに、態々わざわざ俥でやつて来てね。麦酒びーるや水菓子なんか車窓まどン中へ抛り込んでくれた。皆様みなさんに宜敷ツて言つてたよ。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
もうしお父様とっさま、おなさけない事になりました、うみの親より深い御恩を受けました上、ういう事になりましたもわたくし思召おぼしめしての事でございますから、皆様みなさんどうぞ代りに私を殺して
「さ、これでし。皆様みなさん、あちらで。」と手をってのたまうを汐時しおどきと、いずれもするするはらはらともすそさばきて御引取。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
阿母おつかさんても参つてられないから、お前方まへがたは阿母の代りまで勤めねばなりませんと申すので御座いますよ、ほんとに皆様みなさんの御体が御羨おうらやましう御座いますことネ、ですから、貴女あなた、婦人会の方などもネ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
まア勝つもまけるも時の運次第でごろ/\砂の中へ転がって着物をほうって貰い勝ったとか負けたとかいう処が愛敬じゃア、うして見れば皆様みなさんの御贔屓を受けなければならん、貴方が勘弁して下されば
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
『ヤア、皆様みなさんお揃ひですナ。』と、加藤から先づ声をかける。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
皆様みなさん、これじゃたまらん。ちと甲板かんぱんへおでなさい。涼しくッてどんなに心地こころもちいいか知れん。」
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
皆様みなさん御贔屓ごひいきだからう云って下さるんだよ
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わっしもどうやらこうやら皆様みなさん贔屓ひいきにして、五助のでなくッちゃあ歯切はぎれがしねえと、持込んでくんなさるもんだから、長年居附いて、ばばどんもここで見送ったというもんだ。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
皆様みなさん笑いごとじゃアありませんぜ、火に障るっていうのじゃアありませんか、ねえ御隠居。」
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)