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もつ
ふりがな文庫
“
物
(
もつ
)” の例文
斯くてお隣りへ入った泥棒は一
物
(
もつ
)
も得なかったが、浩二に
梁上
(
りょうじょう
)
の
君子
(
くんし
)
の
概念
(
がいねん
)
を与え、家のブル公の声価を四隣に高からしめた。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「だれが意気地ばかりで命がけになれるものか。早い話がお手前にしろ、お十夜にしろ、みな胸に一
物
(
もつ
)
ある仕事ではないか。——周馬にはその報酬がない」
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
床へはいったお藤は、胸に一
物
(
もつ
)
ございますから、ねるどころではありません。すぐさま、わざとスヤスヤと小さないびきを聞かせて、薄眼をあけ、じょうずな狸寝入り。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
牛乳屋
(
ちちや
)
の物食う口は牛七匹と人五人のみのように言いしは
誤謬
(
あやまり
)
にて、なお
驢馬
(
ろば
)
一頭あり、こは
主人
(
あるじ
)
がその
生国
(
ふるさと
)
千葉よりともないしという、この
家
(
や
)
には
理由
(
わけ
)
ある一
物
(
もつ
)
なるが
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それのみならず
日本地震學會
(
につぽんぢしんがつかい
)
から
出版
(
しゆつぱん
)
せられた
二十册
(
にじつさつ
)
の
報告書
(
ほうこくしよ
)
は、
當時
(
とうじ
)
世界
(
せかい
)
に
於
(
おい
)
て
唯一
(
ゆいつ
)
の
地震學雜誌
(
ぢしんがくざつし
)
であつたのみならず、
收録
(
しゆうろく
)
せられた
材料
(
ざいりよう
)
、ミルン
教授
(
きようじゆ
)
等
(
ら
)
によつて
物
(
もつ
)
せられたる
多
(
おほ
)
くの
論文
(
ろんぶん
)
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
▼ もっと見る
冗談は冗談として、過日の注告や、今夜のことを改めて礼をいうと、馬春堂はそれですっかり虫の納まったふうですが、伊兵衛には胸に一
物
(
もつ
)
があるらしく
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
言葉使いの改まる時は胸に一
物
(
もつ
)
ある。お願いでも何でもない。強制だ。
四十不惑
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
泰軒は泰軒でまた胸に一
物
(
もつ
)
を
蔵
(
ぞう
)
している。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
加うるに、
曹
(
そう
)
旦那の胸には一
物
(
もつ
)
のあることなので、あれからもなお「豪傑豪傑」と、一家あげての
歓待
(
かんたい
)
だった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と胸に一
物
(
もつ
)
ある大谷夫人は甚だ
辛辣
(
しんらつ
)
だった。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
何か一
物
(
もつ
)
ありそうなお十夜——あのそぼろ助広の
鉄色
(
かねいろ
)
のようにトロリとした眼でお綱を
視
(
み
)
る……。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ごろつきたちが、胸に一
物
(
もつ
)
の
揉
(
も
)
ミ手腰で、うようよ近づいてきたのを、知るか知らぬか、智深は
大欠伸
(
おおあくび
)
をして、
床
(
ゆか
)
の高い番所の
梯子段
(
はしごだん
)
を降りたと思うと、のっそり畑のほうへ歩いてきた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『——おかしいぞ。春作が、いやにそわそわしている。玄庵の奴も、来ても、妙に腹に一
物
(
もつ
)
という風だ。……山岡屋が誰よりも変だし、
彼
(
あ
)
のするどい薊の眼にも、何かこの頃、
思惑
(
おもわく
)
があるらしい』
魚紋
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“物”の意味
《名詞》
(もの)人の認識の対象となる存在又はそれに順ずる概念。cf.こと。
(もの、「者」と読み分ける場合はブツ)(法律)権利等の主体である人に対立する概念で、権利等の客体をいう。
(ブツ)(隠語)違法に取引されるもの。
(出典:Wiktionary)
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“物”を含む語句
着物
物語
怪物
食物
腫物
動物
供物
作物
贈物
副食物
生物
物凄
果物
玩弄物
器物
植物
香物
物品
物柔
贋物
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