)” の例文
お前も見る通り、先生はこんなおいさんだ。もう今に七十に間もないお方だ。それにお前の見る通りの真面目まじめなお方だ。どうだろう。
花子 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
哀れなボースンよ! 年は寄ってるし、子供は多いし、暮らしは苦しいし、かかあは病気だし、この憶病な禿げのおさんに従うことに皆決めた。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
「うん。けづな※ごだもな。たぐれでばがり居で、一向仕事けるもさないで。今日も町で飲んでらべぁな。うな爺※ごにるやなぃじゃぃ。」
十月の末 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
あにい、そのまま上へ積まっしゃい、と早や二人して、嘉吉めが天窓あたまと足を、引立てるではござりませぬか。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「おや。なんだ。いさん。そいつあいけねえぜ。」一本腕が、口に一ぱい物を頬張りながら云った。
橋の下 (新字新仮名) / フレデリック・ブウテ(著)
幼少から「イ、爺イ」といって困らせてばかりいた安藤家重という老臣の面影をである。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まるでヨボヨボイさんではないか! 地上に捨てられた松明に照らされ、裾が明るく次第にぼけ、胸のあたりが朦朧もうろうと煙り、うつむいている顔ばかりが、病的にはなやかに輝いている。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
穴へ転げて入る拍子ひょうしが面白いので、有るだけの団子をみな落し込み、その次には重箱じゅうばこを入れてもまだ足らず、おしまいにはいころりん爺いころりんと、自分まで転んで行ったというような
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
己は折々あのおいさんに逢うのがすきだ。350
そこのいさん、岩の肋骨ろっこつつかまえていないと
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
四月五日に、まだ壁が乾き切らぬと云うのに、果して見知らぬいさんが小さい荷物を持って、宮重方にいて、すぐに隠居所に這入った。
じいさんばあさん (新字新仮名) / 森鴎外(著)
子供らはかわるがわるうまやの前から顔を出して「さん、早ぐおや」と言って笑った。小十郎はまっ青なつるつるした空を見あげてそれから孫たちの方を向いて「行って来るじゃぃ」と言った。
なめとこ山の熊 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「作左。……おう、奉行のイに会ったか」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お前をネエレウスのいさんに紹介するのは
こォれでよォいかとおィさんに問ォえば
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
 い、見えたか。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
常磐橋の辻から、京町へ曲がる角にかまを据えて、手拭てぬぐいを被ったいさんが、「ほっこり、ほっこり、焼立ほっこり」と呼んで売っているのである。
独身 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
※ごぁ、今朝ももどて来なぃがべが。でぁこったにいしょがしでば。」
十月の末 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
い様を休ませて下さいまし。11060
「おい、おい。」
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あの驢馬をもらった時の、君の喜びようと云ったらなかったね。僕はそう思ったよ。君だの、あの騾馬を手に入れて喜んだ司令官のいさんなんぞは、仙人だと思ったよ。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「じゃ、うなぃの※ごぁ、酔ったぐれだが。」
十月の末 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「おんいええ。」
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
末造は松永町から、仲徒町なかおかちまちへ掛けて、色々な買物をして廻る間に、又探るともなしに、飴屋のいさんの内へ壻入むこいりのあった事を慥めた。標札にあった巡査がその壻なのである。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
いよう。」
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それあの何とかいういさんがいたっけなあ。勝安芳かつやすよしよ。勝なんぞも苦労をしたが、内の親父も苦労をしたもんだ。同じ苦労をしても、勝はしわい命を持っていやぁがるから生きていた。
里芋の芽と不動の目 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
挨拶あいさつに出たいさんが、「病人がありまして、おやかましゅうございましょう」
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
秩父在ちちぶざいに昔から己の内に縁故のある大百姓がいるから、そこへ逃げて行こうというのだ。いの背中で、上野の焼けるのを見返り見返りして、田圃道たんぼみちを逃げたのだ。秩父在では己達を歓迎したものだ。
里芋の芽と不動の目 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
私は店のいさんに問うて見た。
サフラン (新字新仮名) / 森鴎外(著)