熟練じゅくれん)” の例文
もとより、これは、べつ運転手うんてんしゅで、もっととしをとった熟練じゅくれんおとこでありました。その汽車きしゃには、大臣だいじんとたくさんな高等官こうとうかんっていました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、足もとの小石を三つ四つ拾いとったかと思うと、はるか、流れの中ほどをねらって、おそろしく熟練じゅくれんしたつぶてを投げはじめた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お父さんはパリではこの道にかけて熟練じゅくれんのほまれの高い一人であった。それでその季節きせつにはほうぼうからたのまれて、うちにいることが少なかった。
味方は洞くつ内の案内を知らないという不利な点がありましたけれど、捕り物には熟練じゅくれんしたおまわりさんたちです。
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それに規則的きそくてきにしかも仕事しごと熟練じゅくれんしてるから、花前はなまえがきてから二か月にして、牛舎ぎゅうしゃは一ぺんしたかんがある、主人しゅじんはもはやじゅうぶんに花前の変人なりをのみこんでるから
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
この方たちのお母さんは一昨年さくねんくなられました。ええ、ボートはきっとたすかったにちがいありません、なにせよほど熟練じゅくれん水夫すいふたちがいで、すばやく船からはなれていましたから
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
大王は英語を使うことに熟練じゅくれんして居りますが私はそういう具合に行かぬから、大王はネパール語、私はチベット語でブッダ・バッザラ師の通弁で自由にいろいろの話をして居りますと
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ただ日ごろの熟練じゅくれんによって、目は見えないが、手さぐりによって、この精巧なクイーン・メリー号の機関をかろうじてあやつっていること、したがって、メーターもゲージもよめないので
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それは蝸牛の肉をでてやわらかくしたものを上等のバタと細かくきざんだ薄荷はっかとをこねあわせたものと一緒にしてからに詰めるだけのことである。しかしこの簡単な料理にもなかなか熟練じゅくれんを要するという。
異国食餌抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
これには牛乳も何も入れないでよくやわらかふくれますが少し熟練じゅくれんを要します。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
これは四人がボートをあやつる知識と、熟練じゅくれんに欠けてるのを知っている富士男が、モコウにむこう川岸まで送りとどけるように命じたのだった。この命令をうけたとき、モコウは首を横にふった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
まったく、いのちしてするのでなければ、いくら熟練じゅくれんをしても、おもいきって、できることではないのであります。
二人の軽業師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それでこのじゅつには熟練じゅくれんしていた。わたしはとび上がって、いちばん下のえだにとびついた。
東西とうざい二人ふたりの、名人めいじん軽業師かるわざしが、そろいもそろって、げい仕損しそじてんだといううわさが、また一世間せけんさわがしましたが、だれも、この二人ふたり軽業師かるわざしが、熟練じゅくれんしきっている芸当げいとう
二人の軽業師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
にん熟練じゅくれんした坑夫こうふが、きたとおしまから、ばれることになりました。