源吉げんきち)” の例文
源吉げんきちは、茫然ぼうぜん台風たいふうっていったあとの、はるかの地平線ちへいせんをながめていると、緑色みどりいろそらから、龍夫たつおが、にっこりとわらって
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そんな嫌な事を言っておくれでない——、それはそうと、あれほどこの邸の側へも寄らないようにと言って置くのに、うして潜り込んで来たのだえ、源吉げんきち
裸身の女仙 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
というのを口の中で噛潰かみつぶした、機関手の源吉げんきちは、誰にいうともなく、あたりを見廻した。
鉄路 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
源吉げんきち
竈の中の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「さあ、これがはなしをした源吉げんきちさんのおはかだ。おくにのためにつくしたむら勇士ゆうしだ。みんなよくおれいをいっておがみなさい。」
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
土地の御用聞、また源吉げんきちが、子分のやすと一緒に飛んで来たのは、それから煙草三服ほどの後でした。
源吉げんきちは、かぜ比較的ひかくてきたらない、北窓きたまどけてそらあおぐと、地球ちきゅううごくように、黒雲くろくもがぐんぐんとながれている。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
目白台でにらみを利かしている顔の古い御用聞で、三つ股の源吉げんきちという中年者ですが手に余るほどの大事件を背負い込んで、町方役人からさんざんに油を絞られ、フト二三年前
ラジオは、天気予報てんきよほう時間じかんに、台風たいふうちかづいたことを警告けいこくしていました。源吉げんきちは、龍夫たつおのいた時分じぶんのことをおもした。なんでかれのいったことをわすれよう。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「玉の輿こしの呪い」以来、平次の腕に心から推服しているまた源吉げんきちは、このお小夜殺しをすっかり持て余してしまって、五日目には平次のところへ助け舟を求めに来たのでした。
ある清作せいさくさんは、むら子供こどもたちをつれて、かえったら、かならずいこうとおもっていた、源吉げんきちさんのおはかへおまいりをしました。そこは、小高こだかやまでありました。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むら源吉げんきちさんもシベリア戦役せんえきにいって、片腕かたうでをもがれたのだった。あの時分じぶん自分じぶんはまだ子供こどもだったので、源吉げんきちさんが不具かたわになってかえってくると、おそろしがったものだ。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)