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気拙
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きまず
ふりがな文庫
“
気拙
(
きまず
)” の例文
旧字:
氣拙
紅葉と私とは妙なイキサツから
気拙
(
きまず
)
くなっていたが、こうして
胸襟
(
きょうきん
)
を開いて語ればお互に何の
蟠
(
わだかま
)
りもなく打解ける事が出来た。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
彼女は何もかも知っている
癖
(
くせ
)
に、ぎこちなく
睨
(
にら
)
み合った二人の男の
気拙
(
きまず
)
さを救う為に、首をかしげ、
花弁
(
はなびら
)
の様な唇を美しく
歪
(
ゆが
)
めて声をかけた。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その翌る日から、どんなに兄と私との問が恰好の付かぬ
気拙
(
きまず
)
いものになったかは、これももう特別に、申し上げるほどのこともありますまい。
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
こんな話から、私は
気拙
(
きまず
)
くなって、鳴海の宅から立去った。そして私は、更に
荒
(
すさ
)
んだ生活の中に落込んでいった。
大脳手術
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「もとは同じぐらいの格式の旗本、それで同じところへ勤めていると、若い同士でどうも
気拙
(
きまず
)
くなって困ります」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
妻の母は時々
気拙
(
きまず
)
い事を妻にいうようでした。それを妻は私に隠していました。しかし自分は自分で、単独に私を責めなければ気が済まなかったらしいのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お島は今着ているものの
聯想
(
れんそう
)
から鶴さんの肉体のことを言出しなどして、小野田を
気拙
(
きまず
)
がらせていた。男の体に反抗する女の手が、小野田の
火照
(
ほて
)
った
頬
(
ほお
)
に落ちた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
氏子総代の伯父にも裁判所から呼び出しがあって、行き違いから仁田さんとも
気拙
(
きまず
)
い事があった。
光り合ういのち
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
三人はそのまま
気拙
(
きまず
)
い思いをして別れたが、それから第三日目の朝になっても、依然としてフェア・ウェザーとセント・エリアスが真正面に見えた時には、
流石
(
さすが
)
の俺も
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
最初は何となく
気拙
(
きまず
)
かったが、暫く話しをしているうちに、やはり古い馴染というものは有難いものだ。いつの間にか障壁がとれて、もう昔の通り、君僕の会話になっていた。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
離婚は笑って出来る事でなく互に
気拙
(
きまず
)
くなって致す事ですから、既に離婚せねばならぬ状態に立到った以上その場合にまで夫唱婦和を強いるのは実際の人情に通ぜぬ
迂濶
(
うかつ
)
な御考です。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
寧ろ私のような職場の人々に苗字のことでいろいろ
気拙
(
きまず
)
いことが多い筈です。だが
光の中に
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
和七は
気拙
(
きまず
)
そうに黙り込んでしまいます。
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
黒川先生御夫婦と鞠子さんを除いた四人の会員、熊浦氏と、園田文学士と、一寸法師の槌野君と、僕とが、応接室に集って、
気拙
(
きまず
)
い顔を見合せていた。
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
軈
(
やが
)
てチャンスは思いがけなく急速にやって来た。というのは、B子がその
夫君
(
ハズ
)
と四五日間
気拙
(
きまず
)
い日を送った。その動機は、僅かの金が無いことから起ったのだった。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
常から放縦な恋愛を
顰蹙
(
ひんしゅく
)
する自分は大杉のかなりに打明けた正直な告白に
苦虫
(
にがむし
)
を
潰
(
つぶ
)
さないまでも余り同感しなかったのを
気拙
(
きまず
)
く思ったと見えて、家が遠くなると同時に足が遠のいてしまった。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
人間の触るるところ、集まるところ、
気拙
(
きまず
)
さと不調和とにみちている。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
あながち諸戸に嫌悪を感じたのではなかったが、二人の間に
醸
(
かも
)
された妙な
気拙
(
きまず
)
さや、内気な私の羞恥心が、私をその下宿にいたたまれなくしたのである。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
気拙
(
きまず
)
いことが起るぐらい面白くなく、そして淋しいことはないので、こういう時には、結局ワキ役である私の方で気をきかせて譲歩し、彼の
我儘
(
わがまま
)
を認めてやる事にしている。
暗号音盤事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
だが、彼はあくまで「やり直し」を主張する勇気もなく、
気拙
(
きまず
)
い顔で沈黙してしまった。屈辱と命と
天秤
(
てんびん
)
にかけて見て、やっぱり命の方が
惜
(
おし
)
かったのであろう。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
やや
気拙
(
きまず
)
い対面だったので、何かと気を使って、例の巧みな弁口で、池内自身もその後芙蓉とは、まるで
御無沙汰
(
ごぶさた
)
になっている
体
(
てい
)
に、云いつくろうのであったが、柾木は
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
盗み聞きは悪いとは知りながら、
気拙
(
きまず
)
い
羽目
(
はめ
)
になって、つい出るにも出られぬ気持だった。
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
こちらもじっと
睨
(
にら
)
みつけてやると、乞食みたいな男は、
気拙
(
きまず
)
そうにそっぽを向いて、トボトボと歩き出した。歩きながら、チラッチラッと振返る。その様子が如何にも怪しいのだ。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして、二人の間に妙に融和しない
気拙
(
きまず
)
い空気が漂いはじめた時、ドアが開いて遠藤技師長が入って来た。カーキ色の仕事服を着た、黒い短い口髭のある四十五六歳の好男子である。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私達が格子戸を開けて入ろうとすると、
出会頭
(
であいがしら
)
に、中から意外な人物が出て来た。私とその男とは、非常な
気拙
(
きまず
)
い思いで、ぶつかった目をそらす事も出来ず、暫く無言で睨み合っていた。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
兄はビクッとして、振向きましたが、
気拙
(
きまず
)
い顔をして何も云いません。私は
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それがどちらも商売人でない紳士と淑女の初対面なのだから、何とも云えぬ
凄
(
すご
)
い感じなのだ。彼等が最初の間、どんなに
気拙
(
きまず
)
くはにかみ合うか。そして、最後には、どんなに無恥に大胆になるか。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それは誠に変てこな、
気拙
(
きまず
)
い場合であった。二人とも、まさかこんな風になろうとは予期していなかった。もっとさりげなく、世の大人達の様に、最初の夜を楽しむことが出来るものと信じていた。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
が、まずさあらぬ体で夕食を済ませると、いつものように常談口を利き合うでもなく、そうかといって、写真の正体を
極
(
きわ
)
めぬ間は、書斎にとじ
籠
(
こも
)
る訳にも行かず、双方妙に
気拙
(
きまず
)
く
睨
(
にら
)
み合いといった形。
接吻
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
二人の目の前に生々しい人間の腕が転がっているのだ。恥しさも、
気拙
(
きまず
)
さも、はては情慾さえもが、どこかへ消し飛んでしまって、彼等の心は、不気味さと恐ろしさに、全く占領されていたのである。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
人々は、お互に疑問の目を向け合って、
気拙
(
きまず
)
い食事を済ませた。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
気拙
(
きまず
)
いのだなと思って、何も知らぬ体にして
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
拙
常用漢字
中学
部首:⼿
8画
“気”で始まる語句
気
気色
気遣
気勢
気持
気質
気障
気配
気味
気高