母人ははびと)” の例文
が、折角せっかくたのみとあってればなんとか便宜べんぎはかってげずばなるまい。かく母人ははびと瀑壺たきつぼのところへれてまいるがよかろう……。
の間は火のやすことをむがところのふうなれば、祖母と母との二人のみは、大なる囲炉裡いろり両側りょうがわすわり、母人ははびとかたわら炭籠すみかごを置き、おりおり炭をぎてありしに
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
春のおさかなさわら、ひらめ、などと、ノートさせられて「今日午後六時の汽車にて帰す」と浜子が書き添え、認印みとめを押してよこした年少のころ、浜子の母人ははびとはホクホクして
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
後に歳をられてからの写真を新聞などで見ても、やはり、その時のおもかげがよく残っておって、母人ははびとよりも丸い方に私は思ったことだが……それはとにかく、三枝未亡人は
なれども二人の母人ははびとぢや。その妹の子はこの春死んでおぢやつたのぢや。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
それでそち母人ははびとは、今日きょうここついでわし本体ほんたい見物けんぶつして、それを土産みやげってかえりたいということのようであるが、これは少々しょうしょうこまった註文ちゅうもんじゃ。
そう思う母人ははびとの生れ育った時代は、幕末、明治と進歩進取の世に生れあわせていた。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
そち母人ははびと近頃ちかごろようや修行しゅぎょうんで、外出そとで自由じゆうにできるようになったので、是非ぜひそちわそうかとおもっている。