此品このしな)” の例文
みなさんは、御存ごぞんじであらうか……此品このしなを。……あなたがたが、女中ねえさんに御祝儀ごしうぎしてめしあがる場所ばしよなどには、けつしてあるものではない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つかはさるゝは御迷惑ごめいわくの體なりしが據處よんどころなく下されておほせけるは此品このしなは東照神君よりつたはれるにて父君にもふか御祕藏ごひざうの物なるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
アノ今ね、田圃たんぼへ出て一ぷくやらうと思つていた、莨入たばこいれを忘れて出かけたのを…………。主「ヘイ、成程なるほど此品このしな御座ございますか。客「ウム、これさへあれば大丈夫だ。 ...
(和)茗荷 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
角器のうへに畫きたるは猪の牙を摩り减らしてつくりたる根形ねかた利噐りきなり。此品このしなは常陸河内郡椎塚より出でたるものなるがこれ同樣どうやうしなは大森貝塚よりも發見はつけんされたり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
昨夜ゆふべまへさんにあづけた、アノ胴巻どうまきしてんな。主「はい/\此品このしな御座ございますか。客「イヤこれを忘れちや大事おほごとだ、アヽ有難ありがたい、はい左様さやうなら。主「ア、つちまつた。 ...
(和)茗荷 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
召連めしつれ候と申に原田は是を聞其方が虎松なるか此脇差このわきざしを去月十一日稻荷町の十兵衞かたに於てこの治助にうりたるかとのたづねに虎松然樣さやうなりと答ふれば原田此品このしな何所どこから買出かひだしたか其買先を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あらため見るに蝦夷錦えぞにしき楊枝指やうじさしかくはし其外かうがひかんざしるゐ何れもかね目の物多くありければ兩人これまうけものなりとよろこびけり然れども此品このしな賣拂うりはらはゞあらはるべしとて暫時しばしあひだの玄柳方へあづおきけるが此品々このしな/″\より終に二人が天罰てんばつむくい來とは知ざりけりさても白子屋にては又七が事は地面ぢめん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)