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朱泥
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しゅでい
ふりがな文庫
“
朱泥
(
しゅでい
)” の例文
手工藝では多くのものを見ることは出来ません。
朱泥
(
しゅでい
)
で
煎茶器
(
せんちゃき
)
を作りますが、郷土の特色を誇り得るまでには至らないでありましょう。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
右の方に
周囲
(
まわり
)
一
尺余
(
しゃくよ
)
の
朱泥
(
しゅでい
)
まがいの
鉢
(
はち
)
があって、鉢のなかには
棕梠竹
(
しゅろちく
)
が二三本
靡
(
なび
)
くべき風も受けずに、ひそやかに控えている。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それそれその戸袋に
載
(
の
)
った
朱泥
(
しゅでい
)
の
水差
(
みずさし
)
、それに
汲
(
く
)
んだは井戸の水じゃが、久しい
埋井
(
うもれい
)
じゃに因って、水の色が
真蒼
(
まっさお
)
じゃ、まるで透通る草の汁よ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
春蘭のしなやかな葉も
刃
(
やいば
)
と刃にみえだしてくる。支那鉢の
朱泥
(
しゅでい
)
のいろまでが、高ノ師直の肌や体臭をおもわせる。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先日の雪の絵はなかなか良いが、あの判を
貴方
(
あなた
)
の所の
朱肉
(
しゅにく
)
で押されてはちょっと困る。別便で
朱泥
(
しゅでい
)
を少々送ったから、今後はそれを使ってもらいたい。それから墨もあの墨では困る。
南画を描く話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
▼ もっと見る
古渡
(
こわたり
)
の
錫
(
すゞ
)
の
真鍮象眼
(
しんちゅうぞうがん
)
の
茶托
(
ちゃたく
)
に、
古染付
(
ふるそめつけ
)
の結構な茶碗が五人前ありまして、
朱泥
(
しゅでい
)
の
急須
(
きゅうす
)
に今茶を入れて呑もうと云うので、南部の
万筋
(
まんすじ
)
の
小袖
(
こそで
)
に
白縮緬
(
しろちりめん
)
の
兵子帯
(
へこおび
)
を締め、
本八反
(
ほんはったん
)
の
書生羽織
(
しょせいばおり
)
で
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
翁が特に愛していた、
蝦蟇出
(
がまで
)
という
朱泥
(
しゅでい
)
の
急須
(
きゅうす
)
がある。
径
(
わたり
)
二寸もあろうかと思われる、小さい急須の
代赭色
(
たいしゃいろ
)
の
膚
(
はだえ
)
に
Pemphigus
(
ペンフィグス
)
という
水泡
(
すいほう
)
のような、大小種々の
疣
(
いぼ
)
が出来ている。
カズイスチカ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
わたくしは、
朱泥
(
しゅでい
)
の徳利を取上げます。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
好みし
朱泥
(
しゅでい
)
の
茶缾
(
さへい
)
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
しばらく自分の手にした
朱泥
(
しゅでい
)
の
鉢
(
はち
)
と、その中に盛り上げられたように
膨
(
ふく
)
れて見える
珠根
(
たまね
)
を眺めていたが、やがてその眼を自分の横顔に移して
変な音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼の将士も、その尾について、さんざん悪口を吐きちらすと、たちまち、怒面を
朱泥
(
しゅでい
)
のようにして、周瑜は
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
老人は
首肯
(
うなずき
)
ながら、
朱泥
(
しゅでい
)
の
急須
(
きゅうす
)
から、緑を含む
琥珀色
(
こはくいろ
)
の
玉液
(
ぎょくえき
)
を、二三滴ずつ、茶碗の底へしたたらす。清い
香
(
かお
)
りがかすかに鼻を
襲
(
おそ
)
う気分がした。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「まず、物見の
報
(
し
)
らせがあるまで、英気を養っておくがいい」と、弁円も、幾杯か傾けて、
朱泥
(
しゅでい
)
のように顔を染めていたし、他の者も、毒がまわったように、酔いしれているのだった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
北側に
床
(
とこ
)
があるので、申訳のために変な
軸
(
じく
)
を掛けて、その前に
朱泥
(
しゅでい
)
の色をした
拙
(
せつ
)
な
花活
(
はないけ
)
が飾ってある。
欄間
(
らんま
)
には
額
(
がく
)
も何もない。ただ
真鍮
(
しんちゅう
)
の
折釘
(
おれくぎ
)
だけが二本光っている。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ハハハハ、それで
藤
(
とう
)
さんが帰って来てビールの徳利をふって見ると、半分以上足りない。何でも誰か飲んだに相違ないと云うので見廻して見ると、大将隅の方に
朱泥
(
しゅでい
)
を
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
朱
常用漢字
中学
部首:⽊
6画
泥
常用漢字
中学
部首:⽔
8画
“朱”で始まる語句
朱
朱塗
朱雀
朱鞘
朱鷺色
朱実
朱欒
朱羅宇
朱総
朱房