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朝顔
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あさがほ
何うして
其時分ぢやからといふて、
滅多に
人通のない
山道、
朝顔の
咲いてる
内に
煙が
立つ
道理もなし。
朝顔の花が
日毎に小さくなり、
西日が燃える
焔のやうに
狭い
家中へ
差込んで来る
時分になると鳴きしきる
蝉の声が
一際耳立つて
急しく
聞える。八月もいつか
半過ぎてしまつたのである。
最早それはいひツこなしとゝめるも
云ふも一
ト筋道横町の
方に
植木は
多しこちへと
招けば
走りよるぬり
下駄の
音カラコロリ
琴ひく
盲女は
今の
世の
朝顔か
露のひぬまのあはれ/\
粟の
水飴めしませとゆるく
甘くいふ
隣にあつ
焼の
塩せんべいかたきを
追々馴染が
度重ると、へい、
朝顔の
花打沈めたやうに、
襟も
咽喉も
色が
分つて、
口で
言ひやうは
知らぬけれど、
目附なり
額つきなり、
押魂消た
別嬪が、
過般中から、
同じ
時分に、
私と
顔を
合はせると