朝顔あさがほ)” の例文
旧字:朝顏
うしてその時分じぶんぢやからといふて、滅多めツた人通ひとどほりのない山道やまみち朝顔あさがほいてるうちけぶり道理だうりもなし。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
朝顔あさがほの花が日毎ひごとに小さくなり、西日にしびが燃えるほのほのやうにせま家中いへぢゆう差込さしこんで来る時分じぶんになると鳴きしきるせみの声が一際ひときは耳立みゝだつてせはしくきこえる。八月もいつかなかば過ぎてしまつたのである。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
最早もうそれはいひツこなしとゝめるもふも一筋道すぢみち横町よこちやうかた植木うゑきおほしこちへとまねけばはしりよるぬり下駄げたおとカラコロリことひく盲女ごぜいま朝顔あさがほつゆのひぬまのあはれ/\あは水飴みづあめめしませとゆるくあまくいふとなりにあつやきしほせんべいかたきを
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
追々おひ/\馴染なじみ度重たびかさなると、へい、朝顔あさがほはな打沈ぶちしづめたやうに、ゑり咽喉のどいろわかつて、くちひやうはらぬけれど、目附めつきなりひたひつきなり、押魂消おつたまげ別嬪べつぴんが、過般中いつかぢゆうから、おな時分じぶんに、わしかほはせると
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)