たすけ)” の例文
父と子と聖霊の名によって、我れヘンリーはこの大英国の王冠と御代とを、わが正しき血、恵みある神、親愛なる友のたすけ
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
シォウルの外にたすけを求むる彼の手を取りて引寄すれば、女はよろめきつつ泥濘ぬかるみを出でたりしが、力や余りけん、身を支へかねてどうと貫一にもたれたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
手に白刃を拔き持ちてかの女房を逐ひしりぞけ、大音に呼びけるやう。物にや狂ふ、女子をなご聖母マドンナいかでか汝がたすけを求めん。
みことにかかってほろぼされた賊徒ぞくとかず何万なんまんともれぬ。で、それが一だん怨霊おんりょうとなってすきうかがい、たまたまこころよからぬ海神かいじんたすけけをて、あんな稀有けう暴風雨あらしをまきおこしたのじゃ。
かねいきおいもないものが天下の士に恥じぬ事業を成すには筆の力に頼らねばならぬ。舌のたすけらねばならぬ。脳味噌のうみそ圧搾あっさくして利他りた智慧ちえしぼらねばならぬ。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
炎々たる猛火のうちに、その父と母とはくるしもだえてたすけを呼びけんは幾許いかばかりぞ。彼等は果して誰をか呼びつらん。思ここに到りて、直道が哀咽あいえつ渾身こんしんをして涙に化しをはらしめんとするなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
第一は、のテレマカスがユーミアス及びフㇶリーシャスのたすけりて縄の一端を柱へくくりつけます。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれどもみんな歩いたところで、一時間とかからない近距離なので、たまさかの散歩がてらには、かえってやかましい交通機関のたすけに依らない方が、彼の勝手であった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
天上天下に吾志を妨ぐるものなく、つい仙姫せんきたすけを得てことごとく女の言うところを果す。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
強い空想のたすけに依る必要も何にもなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)