折釘おれくぎ)” の例文
ラプンツェルをれてったおな夕方ゆうがた魔女まじょはまたとううえ引返ひきかえして、った少女むすめ辮髪べんぱつを、しっかりとまど折釘おれくぎゆわえつけてき、王子おうじ
卵色の壁には大型のシェイフィルド銃と、古風な村田銃との二ちょうの猟銃が横に架けられてあった。その下前には弾嚢帯だんのうたい折釘おれくぎからだらりとるされていた。
恐怖城 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
北側にとこがあるので、申訳のために変なじくを掛けて、その前に朱泥しゅでいの色をしたせつ花活はないけが飾ってある。欄間らんまにはがくも何もない。ただ真鍮しんちゅう折釘おれくぎだけが二本光っている。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それの締りをする細引きはちゃんと折釘おれくぎに結びつけたままになっていた。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その片隅の八日ようか巻の時計の下の折釘おれくぎに、墨西哥メキシコかケンタッキーの山奥あたりにしかないようなスバらしく長い、物凄ものすごい銀色の拳銃が二ちょう、十数発の実弾を頬張ほおばったまま並んで引っかかっているのだ。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
折釘おれくぎ烏帽子えぼし掛けたり春の宿
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
折釘おれくぎ烏帽子えぼしかけたり宵の春
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
柳の木のうしろにある赤い煉瓦造れんがづくりの倉に、山形やまがたの下に一を引いた屋号のような紋が付いていて、その左右に何のためともわからない、大きな折釘おれくぎに似たものが壁の中から突き出している所を
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ラプンツェルは黄金きんばしたような、ながい、うつくしい、頭髪かみってました。魔女まじょこえこえると、少女むすめぐに自分じぶんんだかみほどいて、まど折釘おれくぎきつけて、四十しゃくしたまでらします。
欽吾は両手で一度上へ揺り上げた額を、折釘おれくぎから外して、下へさげた。細い糸一本で額は壁とつながっている。手を放すと、糸が切れて落ちそうだ。両手でうやうやしく捧げたままである。母は下から云う。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)