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手頼
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たより
ふりがな文庫
“
手頼
(
たより
)” の例文
勘次
(
かんじ
)
は
船頭
(
せんどう
)
が
態
(
わざ
)
と
自分
(
じぶん
)
を
突
(
つ
)
きのめしたものゝやうに
感
(
かん
)
じて
酷
(
ひど
)
く
手頼
(
たより
)
ない
心持
(
こゝろもち
)
がした。
彼
(
かれ
)
は
凝然
(
ぢつ
)
と
屈
(
かゞ
)
んで
船頭
(
せんどう
)
の
操
(
あやつ
)
る
儘
(
まゝ
)
に
任
(
まか
)
せた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
『
否
(
いな
)
!』と強く自ら答へて見た。自分は仮にも
其麽
(
そんな
)
事を考へる様な境遇ぢやない、
両親
(
ふたおや
)
はなく、一人ある兄も
手頼
(
たより
)
にならず、又成らうともせぬ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
彼は今度は裏から廻ってみたが、やはり雨戸は閉って、ランプの光が
微
(
かす
)
かに闇を漏れるのみであった。モウ最後である。彼の
手頼
(
たより
)
は尽きたのである。
愛か
(新字新仮名)
/
李光洙
(著)
憂鬱にその声を曇らせたが、「見当もつかぬ。見当もつかぬ。しかしきっと
眼付
(
めつ
)
けて見せる。耳についている鼓の音! これを
手頼
(
たより
)
に眼付けて見せる」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
自分はいまだに
報
(
たよ
)
り一つよこさないという
呑気
(
のんき
)
な話、とうてい末始終
手頼
(
たより
)
になるような男ではございません。
ノンシャラン道中記:01 八人の小悪魔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
宋は女眞(金)の力を
手頼
(
たより
)
に、契丹(遼)を滅ぼしたのはよいが、それも束の間で宋自身も女眞の爲に支那の北半を占領され、契丹の時よりも一層の壓迫を受けた。
支那猥談
(旧字旧仮名)
/
桑原隲蔵
(著)
取止めのない男の気持や
言草
(
いひぐさ
)
が何だかふは/\してゐて、
手頼
(
たより
)
ないやうにも思はれたが、
真実
(
ほんとう
)
に自分を愛してくれてゐるのは、あの男より外にはないやうに思はれた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
親の縁を
手頼
(
たより
)
に馬喰町の
其地此地
(
そちこち
)
を
放浪
(
うろつ
)
いて働いていた。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
しかしさような宝を
手頼
(
たより
)
にいたすは
尋常
(
よのつね
)
で
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
あらゆる
手頼
(
たより
)
の綱が一度に切れて了つた樣で、暗い暗い、深い深い、底の知れぬ穴の中へ、獨りぼつちの塊が石塊の如く落ちてゆく、落ちてゆく。
赤痢
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
燒趾
(
やけあと
)
に
横
(
よこた
)
はつた
梁
(
はり
)
や
柱
(
はしら
)
からまだ
微
(
かす
)
かな
煙
(
けぶり
)
を
立
(
た
)
てつゝ
次
(
つぎ
)
の
日
(
ひ
)
は
明
(
あ
)
けた。
勘次
(
かんじ
)
はおつぎを
相手
(
あひて
)
に
灰燼
(
くわいじん
)
を
掻
(
か
)
き
集
(
あつ
)
めることに一
日
(
にち
)
を
費
(
つひや
)
した。
手桶
(
てをけ
)
の
冷
(
つめ
)
たい
握飯
(
にぎりめし
)
が
手頼
(
たより
)
ない三
人
(
にん
)
の
口
(
くち
)
を
糊
(
こ
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
知らない野道で日が暮れたような、この広い世界でたったひとりぼっちになってしまったような、なんとも
手頼
(
たより
)
ない気持である。途中の電車の中のような元気はどうしても湧いて来ない。
キャラコさん:06 ぬすびと
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そこはかとなき若い
悲哀
(
かなしみ
)
——
手頼
(
たより
)
なさが、消えみ明るみする螢の光と共に胸に往来して、
他
(
ひと
)
にとも自分にとも解らぬ、一種の同情が、
自
(
おのづ
)
と
呼吸
(
いき
)
を深くした。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
何でも母親の心にしては、末の
手頼
(
たより
)
にしてゐる娘を下宿屋の娘らしくは育てたくなかつたのであらう。
札幌
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
何でも母親の心にしては、末の
手頼
(
たより
)
にしてゐる娘を下宿屋の娘らしくは育てたくなかつたのであらう。
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
私
(
わし
)
は神様に使はれる身分で、何も食物の事など構はんのぢやが、
稗飯
(
ひえめし
)
でも構はんによつて、モツト安く泊める
家
(
うち
)
があるまいかな。奈何だらうな、重兵衛さん、
私
(
わし
)
は
貴方
(
あんた
)
一人が
手頼
(
たより
)
ぢやが……
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
あらゆる
手頼
(
たより
)
の綱が一度に切れて了つた様で、暗い暗い、深い深い、底の知れぬ穴の中へ、独ぼつちの魂が
石塊
(
いしころ
)
の如く落ちてゆく、落ちてゆく。そして、堅く
瞑
(
つぶ
)
つた両眼からは、涙が滝の如く溢れた。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
奈何だらうな、重兵衞さん、私は
貴方
(
あんた
)
一人が
手頼
(
たより
)
ぢやが……
赤痢
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
頼
常用漢字
中学
部首:⾴
16画
“手頼”で始まる語句
手頼甲斐