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手蹟
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て
ふりがな文庫
“
手蹟
(
て
)” の例文
「なんだ……池さまへ、藤より……。
大師流
(
だいしりゅう
)
のいい
手蹟
(
て
)
だ。こいつ文づかいもすると見える。とても陸尺なんぞの書ける字じゃねえ」
顎十郎捕物帳:11 御代参の乗物
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
併
(
しか
)
し私の
手蹟
(
て
)
じゃ
不味
(
まず
)
いから長州の
松岡勇記
(
まつおかゆうき
)
と云う男が
御家流
(
おいえりゅう
)
で女の手に
紛
(
まぎ
)
らわしく書いて、ソレカラ玄関の
取次
(
とりつぎ
)
をする書生に
云含
(
いいふく
)
めて
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「もう
来
(
き
)
たのか、
昨日
(
きのふ
)
着
(
つ
)
いたんだな」と
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
の様に云ひながら、封書の方を取り
上
(
あ
)
げると、是は
親爺
(
おやぢ
)
の
手蹟
(
て
)
である。二三日前帰つて
来
(
き
)
た。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「まあ、さういふな川上、お前の
手蹟
(
て
)
のいいのを見込まれたのが因果ぢやと思へ。百姓にやもつたいない手蹟ぢやけに。」
一過程
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
ジョージ、お前の
手蹟
(
て
)
かい? まあ、お前はすっかりここにいる船員の中での
頭
(
かしら
)
になってるんだな。お前は次にゃ
船長
(
せんちょ
)
になれるぜ、きっとだよ。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
▼ もっと見る
それとよく似てゐるのは、内藤湖南氏で、氏も犬養氏同様
手蹟
(
て
)
が巧いので、方々から額やら掛物やらの揮毫を頼みに来る。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
翌々日かなりしっかりした
手蹟
(
て
)
で安着の知らせと行く先の在所と両親の言伝を書いたさきの手紙がとどいた。
蛋白石
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「ええ、間違いありませんわ。あたし、京子さんて方、割に字が
拙
(
つたな
)
いのねと思ってみていると、あの
女
(
ひと
)
がわざと
手蹟
(
て
)
を変えたのよと言ってお笑いになったから、よく覚えて居りますわ」
殺人迷路:06 (連作探偵小説第六回)
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
「なるほど、ばあさんの
手蹟
(
て
)
だ。
児童
(
こども
)
にも読めるように、
仮名
(
かな
)
まで振ってあら」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こうなれば、最初からやり直しだ。お品さんは
手蹟
(
て
)
が良いから、御苦労でも去年の暮からさらわれた人の名と、年と、
町所
(
まちどころ
)
と商売とを調べ上げて、さらわれた日と時刻と、出来れば天気と手口を
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「なにより不審はそのこと。
骸
(
むくろ
)
は誰が何と申しましょうとも、見ず知らずの他人でござりますのに、どうしたことやら、書置の文字は
紛
(
まぎ
)
れもなく伜の
手蹟
(
て
)
でござりますゆえ、手前共もひと方ならず不審に思うているのでござります」
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「エポニーヌの
手蹟
(
て
)
だ。畜生!」
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「もう来たのか、昨日着いたんだな」と独り言の様に云いながら、封書の方を取り上げると、これは
親爺
(
おやじ
)
の
手蹟
(
て
)
である。二三日前帰って来た。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
紅梅
(
こうばい
)
入りの
薄葉
(
うすよう
)
に美しい
手蹟
(
て
)
で、忠助にかぎってそんな大それたことをするはずがないと、そのひとつことばかり、くりかえしくりかえし書いてあった。
顎十郎捕物帳:05 ねずみ
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
今夜あたりは
殊
(
こと
)
によると
来
(
き
)
てゐるかも知れぬ位に考へて、下宿へ帰つて見ると、果して、母の
手蹟
(
て
)
で書いた封筒がちやんと机の上に乗つてゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
……大師流で
手蹟
(
て
)
はいいが、見てくればかりで品がねえ。筆蹟は人格を現すというが、いや、まったく、よく言ったもんだ、こればっかりは
誤魔化
(
ごまか
)
せねえの。
顎十郎捕物帳:06 三人目
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「どうも何ですな。昔の人はやっぱり
手蹟
(
て
)
が好い様ですな」と御世辞を置き去りにして出て行った。婆さんは
先刻
(
さっき
)
から暦の話をしきりに
為
(
し
)
ていた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それが日にやけて、灰色になったベッドのそばの壁紙に、女の
手蹟
(
て
)
でいろいろな落書がしてある。
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「
何
(
ど
)
うも
何
(
なん
)
ですな。
昔
(
むかし
)
の
人
(
ひと
)
は矢っ張り
手蹟
(
て
)
が
好
(
い
)
い様ですな」と御世辞を置き
去
(
ざ
)
りにして出て行つた。婆さんは
先刻
(
さつき
)
から
暦
(
こよみ
)
の
話
(
はなし
)
をしきりに
為
(
し
)
てゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一口に
歌
(
うた
)
手蹟
(
て
)
マラというが、公卿どもは、和歌と書道と女色のほか、楽しみがないゆえ、うようよと子供ばかりこしらえおる。知嘉というのは、何十人目の姫か知らぬが、烏丸では相手が悪い。
奥の海
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
今夜あたりはことによると来ているかもしれぬくらいに考えて、下宿へ帰ってみると、はたして、母の
手蹟
(
て
)
で書いた封筒がちゃんと机の上に乗っている。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その一枚には百円受取った事と、
向後
(
こうご
)
一切の関係を断つという事が古風な文句で書いてあった。
手蹟
(
て
)
は誰のとも判断が付かなかったが、島田の印は確かに
捺
(
お
)
してあった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「これも
御父
(
おとっ
)
さんの
手蹟
(
て
)
だ。ねえ」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
蹟
漢検準1級
部首:⾜
18画
“手”で始まる語句
手
手拭
手前
手巾
手繰
手許
手向
手綱
手際
手燭