いきど)” の例文
自己の思想を否定するもの、それに矛盾するものが現われるとき、彼はいたずらに悲しんだり、恐れたり、いきどおったりすることをしない。
危機における理論的意識 (新字新仮名) / 三木清(著)
も見ずににげさりけり斯ることの早兩三度に及びし故流石さすがの久八もいきどほり我が忠義のあだ成事なること如何いかにも/\口惜くちをしや今一度あうて異見せん者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
惜気おしげなく敷き連らねた高価の毛皮。香炉から上る香の匂い。すなわち、善尽くし美尽くした、鳳凰の間の有様をいきどおらしく見廻わしてから老師は二人を見返ったが
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
居士コジは、人命犯じんめいはんにはかならず萬已むを得ざる原因あることひ、財主ざいしゆ老婆ろうばが、貪慾どんよくいきどふるのみの一事いちじにしてたちま殺意さついせうずるは殺人犯の原因としては甚だ淺薄なりと
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
もう私には恐ろしくもなければいきどおろしくもない。そうした人間の感情なぞというものはすっかりどこかへ消え失せて、ただ白痴のようにうつつのようにじっとその景色を凝視みつめていた。
逗子物語 (新字新仮名) / 橘外男(著)
され共喜作は食糧しよくれうの不足をうれふるにもかかはらず、己がふ所の一斗五升の米をきたれり、心に其不埒ふらちいきどると雖も、溌剌はつらつたる良魚の眼前がんぜんに在るあるを以て衆唯其風流ふうりうわらふのみ、既に此好下物あり
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
狐のかみそりしんしんと赤し然れどもかたまりて咲けばいきどほろしも
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
受けず、祭司を侮りしアガメムノーンにいきどほり、 95
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
思ひ出す程にして何もかうして居られぬと又飛出しては夜泊り日泊り家には尻の据らねば終に病中びやうちうながら養父五兵衞の耳にすぐに離縁といきどほるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
神プォイボス・アポローン、斯くもわれらにいきどほる?
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
なしていきどほれ共如何とも詮方せんかたなければやがて懷中を改めみるに是は如何に五百兩のかねは無くさて盜賊たうぞく所業しわざならんと近傍あたり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大地は下に震ひ鳴る、雷霆の神いきどほり
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)