御歸おかへ)” の例文
新字:御帰
御歸おかへし下さる樣偏へに御願ひ申ますと眞面目まじめで云ふゆゑ居並ゐならびし役人共一同笑ひに耐兼たへかね眞赤まつかに成て居るにぞ越前守殿もわらはれながら好々よし/\御威光ごゐくわう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「やあ昨夜さくやは。いま御歸おかへりですか」と氣輕きがるこゑけられたので、宗助そうすけ愛想あいそなくとほぎるわけにもかなくなつて、一寸ちよつと歩調ほてうゆるめながら、帽子ばうしつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
郵便爲替いうびんかはせにて證書面しようしよめんのとほりおおくり申候へども、りずば上杉うへすぎさまにて御立おたてかへをねがひ、諸事しよじ清潔きれいにして御歸おかへりなさるべく、かねゆへぢをおきなされては金庫きんこばんをいたす我等われらが申わけなく候
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
小六ころく其時そのとき中學ちゆうがくて、これから高等學校かうとうがくかう這入はいらうといふ間際まぎはであつた。宗助そうすけて、「にいさん」とも「御歸おかへりなさい」ともはないで、たゞ不器用ぶきよう挨拶あいさつをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おそろしくしかつけたりこはい白眼にらめますから久兵衞ほど怕者こはいものは御座りません夫れに引替ひきかへ若い者重助は誠に好者よきものにて若旦那々々々と云て大事にしてくれますと申すに越前守殿夫れにて分つたりさがれ/\と申されしかば私しの御内儀おかみさんは呉々くれ/″\御歸おかへくださいましと言つゝ白洲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ねえさん、左樣さやうなら」とこゑけたら、「おや御歸おかへり」とひながらやうやつてた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)