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強靭
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きょうじん
ふりがな文庫
“
強靭
(
きょうじん
)” の例文
私が自分に求めているだけの
闊達
(
かったつ
)
さ、
強靭
(
きょうじん
)
さ、雄大さはまだわがものとしていません、まだその手前での
上手
(
うま
)
さであり、
確
(
しっか
)
りさである。
獄中への手紙:04 一九三七年(昭和十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
部屋の中に若い娘が一人、首に
強靭
(
きょうじん
)
な麻縄を巻かれ、その縄尻を二間ばかり畳から縁側に引いて、
俯向
(
うつむ
)
きになったまま死んでいたのです。
銭形平次捕物控:090 禁制の賦
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
女性は気弱く見える方が
強靭
(
きょうじん
)
だ。しっかりと自分だけを保護して、そして比較的安全に他人の影にかくれて根強く
棲息
(
せいそく
)
する。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
民族は抑圧に対抗するとき最も
強靭
(
きょうじん
)
であり、民族的英雄や民族の伝説は、多くは民族の繁栄よりも、相共に
嘗
(
な
)
めた苦しみと
闘
(
たたか
)
いの記念である。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
彼は
自
(
みず
)
から信ずるの
篤
(
あつ
)
きのみならず、その執着力の
強靭
(
きょうじん
)
果鋭なるにおいては、王安石もまた
三舎
(
さんしゃ
)
を避くる程なりき。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
▼ もっと見る
葉脈が縦に並んでいて、葉の裏には松の
脂
(
やに
)
が出るらしい白い小さい点が細い白線のように見えている。実際
強靭
(
きょうじん
)
で、また虫に食われることのない強健な葉である。
松風の音
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
そんな風で仕事は絶えず傍道へそれて、その道が行きづまりと見きはめのつくまでは、彼女は出て来ないのであつた。彼女の性格の
強靭
(
きょうじん
)
さがそこには見えてゐた。
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
奥畑のような
坊々
(
ぼんぼん
)
に比べれば、人間として数等上である、兎に角彼にはこの上もなく
強靭
(
きょうじん
)
な肉体があり、いざとなれば火の中へでも飛び込む勇気がある、そして
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この
強靭
(
きょうじん
)
をあなどってはいけない。虚栄は、どこにでもいる。僧房の中にもいる。牢獄の中にもいる。墓地にさえ在る。これを、見て見ぬふりをしては、いけない。
答案落第
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
猫にとってはおそらく不可思議に柔らかくて
強靭
(
きょうじん
)
な
蚊帳
(
かや
)
の抵抗に全身を投げかける。蚊帳のすそは引きずられながらに袋になって猫のからだを包んでしまうのである。
ねずみと猫
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
贅沢
(
ぜいたく
)
な場合でも、その上に僅かのアスファルトを流しこめばいいのだ。それにも
拘
(
かかわ
)
らず、普通以上の
強靭
(
きょうじん
)
さを漆喰で持たせようというには、何か訳がなければならぬ。
東京要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
(これも、いい加減な概念的なものだった。)——民衆の持っている素朴さ、率直さ、
強靭
(
きょうじん
)
さ等々で自分の神経を
揉
(
も
)
んで、ヒステリーを直したいと思った。だが……。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
仰向
(
あおむ
)
きに倒れてもがいている熊の
喉笛
(
のどぶえ
)
に、虎の牙が突き刺さっていた。
強靭
(
きょうじん
)
な肩の筋肉がムクムクと盛りあがって、太い首が鋼鉄の器械のように左右に振り動かされた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
およそ長い歴史を通じ、何が
強靭
(
きょうじん
)
かといって、民の
不撓不屈
(
ふとうふくつ
)
ほど、驚歎されるものはない。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
南独逸の木深い谷を背景にして、酔払いの夫が或る吹雪の晩に森のなかで横死してからの、その寡婦と息子との
荒
(
すさ
)
んでゆく運命を、女にも似げない、
強靭
(
きょうじん
)
な筆で書いたものだった。
晩夏
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
彼らの父親らは、勤勉
強靭
(
きょうじん
)
な古いイスラエル系統に属していて、その民族的精神に執着し、強烈な精力をもって財産を作り、しかもその財産よりその精力の方をより多く享楽していた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
屈するかと見えても
強靭
(
きょうじん
)
であり、曲っても決して折れず、ほんの軽い圧力でも頭を下げるが、それがなくなった瞬間、ぴんと立ち、しゃんとして、相かわらず頭を高く上げているのだった。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
米国産業資本に
強靭
(
きょうじん
)
な
波瀾
(
はらん
)
をまきおこしたために、米国資本を背景とした商工都市大阪は、ウォール街を恐怖がおそうと同時に、赤鼻女の野暮なアメリカの衣裳をつけて財界の迷路に立った。
大阪万華鏡
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
この三枚の絵の描かれております、紙とも付かず皮とも付かぬ
強靭
(
きょうじん
)
な
代赭色
(
たいしゃいろ
)
のへなへなした物質が、今日の紙の祖先である
紙草
(
パピュルス
)
というものであることは、すでに先程申し上げたかと思います。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
枝に葉をつけておいおいに船乗り達の頭へ
強靭
(
きょうじん
)
な根を下ろしはじめた矢先き、それはちょうど一月ほど前の濃霧の夜、またしても汐巻沖で坐礁大破した一貨物船が、数十分にわたる
救難信号
(
エス・オー・エス
)
の中で
灯台鬼
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
きりょうも満更でないのが、なんだって馬鹿馬鹿しく
強靭
(
きょうじん
)
な舌を持って生れたことだろうと、平次は気の毒にさえなるのでした。
銭形平次捕物控:107 梅吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
速水は三十三歳の、むちのように
強靭
(
きょうじん
)
で、しなやかなからだの、やせ型の好男子であった。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
まだかつて、銀歯組の刑部様とのみよんで、人が姓をよんだことのあるを聞かない。何しても、お袖は、その刑部様の
強靭
(
きょうじん
)
な肉情から飽かれない限り、ここを出ることはできないであろう。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すべてが細々として、頼りないようですが、どこかに
強靭
(
きょうじん
)
なところがあり、考えようではスポーツ型とも言えるでしょう。
銭形平次捕物控:321 橋場の人魚
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あなたは女悪魔さ。そいつはよくわかっているが、この
俺
(
おれ
)
が悪魔の王だってことを見せてあげようよ」そう言って、ヘンデルは皮肉な微笑を、
強靭
(
きょうじん
)
な感じのする
頬
(
ほお
)
に浮べた。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
長いあいだ軽業小屋で
鍛
(
きた
)
えた
強靭
(
きょうじん
)
な身体と、恐ろしい気転とで、ともすれば平次と八五郎の手を
免
(
まぬか
)
れて逃出そうとしましたが、久し振りに銭形平次の掌から投げられた五六枚の銭に
銭形平次捕物控:168 詭計の豆
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“強靭”の解説
強靭(きょうじん)は、
(日常用語):強くて粘りがあること。強くてしなやかなこと。
(工学用語):強度(硬度)と靭性を兼ね備えた固体状態。強度は変形や破壊に耐える、臨界応力で機械的性質の代表例であるが、実際の破壊に対する安定性は強度だけでは決まらず、固体に亀裂を入れてその亀裂の進展しにくさを測定し、靭性とする。この強度と靭性を兼ね備えた状態を強靭であるという。つまり強度と靭性の両立した状態であり、その代名詞として安来鋼(やすきはがね)が有名である。
(出典:Wikipedia)
強
常用漢字
小2
部首:⼸
11画
靭
漢検準1級
部首:⾰
12画
“強”で始まる語句
強
強請
強情
強力
強靱
強飯
強盗
強者
強面
強談