広々ひろ/″\)” の例文
旧字:廣々
広々ひろ/″\したかまへの外には大きな庭石にはいし据並すゑならべた植木屋うゑきやもあれば、いかにも田舎ゐなからしい茅葺かやぶき人家じんかのまばらに立ちつゞいてゐるところもある。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
すると何時いつにかいまあがつたやまぎてまた一ツやまちかづいてた、此辺このあたりしばらくのあひだ広々ひろ/″\として、前刻さツきとほつた本街道ほんかいだうよりつとはゞひろい、なだらかな一筋道すぢみち
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして広々ひろ/″\とした画室アトリエ
前よりも亦一層広々ひろ/″\と、一面の日当りになつた畠の上には、大根と冬菜とが、いかにも風土の恵みを喜ぶがやうに威勢好く其葉をのばしてゐる。
冬日の窓 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
ゆき小止をやみなく、いまあめまじらずかわいたかるいのがさら/\とおもち、よひながらもんとざした敦賀つるがまちはひつそりして一すぢすぢ縦横たてよこに、つじかど広々ひろ/″\と、しろつもつたなかを、みちほどちやうばかりで
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
むかうに見える劇場の内部は天井てんじやうばかりがいかにも広々ひろ/″\と見え、舞台は色づきにごつた空気のためかへつて小さくはなはだ遠く見えた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)