ちょう)” の例文
「わが家はとばりちょうをも掛けたればって歌ね、大君来ませ婿にせんってね、そこへ気がつかないでは主人の手落ちかもしれない」
源氏物語:02 帚木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「これで、今晩のお芝居は幕を閉じるのです。つまり、斎藤老人の死骸が、不吉などんちょうをおろす役を勤めた訳ですよ」
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
白鳥の徳利やたるかよちょうを添えて、下げて飛んでいる場面は後世風だが、由ってくるところは甚だ久しいようである。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
とうさんは、できないとおききになると、ちょっとくらかおつきをなさいましたが、おさらいちょうをおとりあげになって、ていねいにごらんになりました。
おさらい帳 (新字新仮名) / 小川未明(著)
晴れの日なので、殊に身ぎれいに慎み、府の一閣に控えていると、やがてちょうを払って現われた近衛このえノ大将軍高俅こうきゅうが、椅子いするやいな、傲然ごうぜんとこういった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ある日も道太は下座敷へ来て、茶の間にいるお絹や、中の間でちょうづけをしているおひろと話していた。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
しばらくののち、桂月香と彼女の兄とはい伏した行長をあとにしたまま、そっとどこかへ姿を隠した。行長は翠金すいきんちょうの外に秘蔵の宝剣ほうけんをかけたなり、前後も知らずに眠っていた。
金将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
貯金のかよちょうは方々探しまわったあげく、竈の灰の下の落し穴から発見された。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ぼく、水筒すいとうわすれてきた。スケッチちょうわすれてきた。けれどかまわない。もうじき白鳥の停車場ていしゃばだから。ぼく、白鳥を見るなら、ほんとうにすきだ。川の遠くをんでいたって、ぼくはきっと見える
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
その金エ引攫ひっさらって逃げ出す音に目エ覚して、後姿を見れば此の野郎でがんすから、魂消て口い明いたっきり、おッちめることが出来やしなかった、すると老爺さまがおこって早く名主どんのおちょうへ付けろ
しょうちゃんは、学校がっこうのことがちっともできないのでございますよ。これをごらんください。」といって、おさらいちょうをおとうさんのまえにおしになりました。
おさらい帳 (新字新仮名) / 小川未明(著)
がらにもなく、そろっと、ちょうの内へもぐり込んで、花嫁の衣裳の下へ手を入れた。すると、ヘンなものが彼の手にジャリッとした。どうもへそらしいが毛が生えていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西田にしだは、ともだちのスケッチちょうをのぞくと、煙突えんとつから、けむりがっている、まち遠景えんけいいていました。
写生に出かけた少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこで智深は、よいのまに、花嫁の部屋に隠れこみ、そこのちょうを垂れて、寝台に横たわった。もちろん彼にも饗膳きょうぜんと酒が供されたので、鱈腹たらふくたべて、寝こんでいる……。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるしょうちゃんのおさらいちょうをごらんになったおかあさんは、おどろいて
おさらい帳 (新字新仮名) / 小川未明(著)