小降こぶ)” の例文
あめは、しだいに小降こぶりになってきました。少年しょうねんは、両手りょうてに、四かくのかんや、びんをつつんだのをかかえて、自動車じどうしゃにもどってきました。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
雨も小降こぶりになり、やがて止んだ。暮れたと思うた日は、生白なまじろ夕明ゆうあかりになった。調布の町では、道の真中まんなかに五六人立って何かガヤ/\云いながらを見て居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
雨がようやく小降こぶりになった。東の空にあかつきの色が動きそめた。恐怖きょうふの夜が、明けようとしている。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
夜中よなかになって、あめがだんだん小降こぶりになり、やがてあらしがぱったりやみますと、はるかたかい山の上から、なんだかおおぜいがやがやさわぎながら、りてくるこえがしました。
瘤とり (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あめはます/\小降こぶりになつて、そしてかぜた。つゆせはしくおとされる。(をはり)
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
ひそかにづけて、こゝを村雨茶屋むらさめちややといはうとおもつた。小降こぶりになつた。しろくもえだく。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
弁慶橋べんけいばしで乗りえてからは、人もまばらに、雨も小降こぶりになつた。あたまらくれた世のなかを眺める事が出来できた。けれども機嫌きげんわるちゝかほが、色々な表情を以てかれの脳髄を刺戟した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
スコールが通りぬけたらしく、急に雨が小降こぶりになったと思うと、もう雲が切れて、もうもうと立ちのぼる水蒸気に、明るく陽の光がさしこんで来た。気温は、またぐんぐんとのぼり出した。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
雪になる小降こぶりの雨や暮のかね
自選 荷風百句 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
源吉げんきちは、じっとしていられなくなって、小降こぶりになるのをち、あまマントをかぶってそとました。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いつしか、あめは、小降こぶりとなり、かみなりはだんだんとおくへってゆきました。
酒屋のワン公 (新字新仮名) / 小川未明(著)