小使こづかひ)” の例文
その時分の生徒が茶番ちやばんさんと云つた小使こづかひの部屋で女中はお嬢さんのお人形を造つたりして何時いつも待つて居ました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
小使こづかひのニキタはあひかはらず、雜具がらくたつかうへころがつてゐたのであるが、院長ゐんちやうはひつてたのに吃驚びつくりして跳起はねおきた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「まだ弟がゐます。是は銀行の——まあ小使こづかひに少し毛の生えた位な所なんでせう」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こゝ呼參よびまゐべしとの事なれば早速さつそく村の小使こづかひはしらせ江戸表より御着ごちやくの役人方より御用の由早々名主宅迄なぬしたくまで御出なさるべしといはすれば祐然は聞ておどろき何事やらんと支度したくなし急ぎ甚兵衞方へおもむきけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
前日ぜんじつみそか、阿波あは徳島とくしまから出京しゆつきやうした、濱野英二はまのえいじさんがけつけた。英語えいご教鞭けうべんる、神田かんだ三崎町みさきちやう第五中學だいごちうがく開校式かいかうしきのぞんだが、小使こづかひ一人ひとりはりひしがれたのとちがひに逃出にげだしたとふのである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
積上つみあげられたる雜具がらくたうへに、いつでも烟管きせるくはへて寐辷ねそべつてゐるのは、としつた兵隊上へいたいあがりの、いろめた徽章きしやういてる軍服ぐんぷく始終ふだんてゐるニキタと小使こづかひ
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
アンドレイ、エヒミチは、イワン、デミトリチの寐臺ねだいうへこしけて、大約おほよそ半時間はんじかんつてゐると、へやいて、はひつてたのはハヾトフならぬ小使こづかひのニキタ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)