家主いへぬし)” の例文
つくすべしとあつさとされし上早速其所の地主嘉兵衞と其家主いへぬしを呼寄られ城富を引渡ひきわたしとなり隨分ずゐぶん心付けつかはすべき由申付けられけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
のち江戸えど元二げんじいたところは、本所南割下水ほんじよみなみわりげすゐんで祿千石ろくせんごくりやうした大御番役おほごばんやく服部式部邸はつとりしきぶていで、傳手つてもとめておな本所林町ほんじよはやしちやう家主いへぬし惣兵衞店そうべゑたな
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この地には一切営業上の課税が無く、だ家屋税を家主いへぬしより徴収せられるだけである割に家賃はやすい。間口七げん奥行十五けんの二階が一箇月八九十円である。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
家主いへぬし女主人をんなあるじところ見知みしらぬひとさへすればれもになる。もん呼鈴よびりんたび惴々びく/\しては顫上ふるへあがる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
門野かどのに案内をさせて平岡夫婦に見せると、大抵からうと云ふ事でわかれたさうだが、門野かどの家主いへぬしの方へ責任もあるし、又其所そこが気に入らなければほかさがす考もあるからと云ふので
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ネワ河水を鉄管にて引きたる上水あり。瓦斯燈がすとうの装置あり。その完全なる物に至つては門衛をも家主いへぬしの支辨にて雇ひ入れあるにあらずや。吾人は最期に読者の注意を乞はんと欲する一事あり。
朝戸出あさとでや離宮まねびし家主いへぬしと隣り住むなる春がすみかな
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
つき家主廣次郎同道どうだうにて我が家にこそはかへりけれさてそれより原田は虎松に向ひ其方明日杉戸へ案内あんないを致せよつて今日は家主いへぬし巳之助其方そのはうへ虎松を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「君、家主いへぬしの方へはりるつて、断わつてたんだらうね」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
彦三郎御長屋中に怪敷あやしきひとあるとの事なれば此御家主へ相談は如何いかゞに候はんとたづぬるに權三打笑うちわらひ爰の家主いへぬしは店子の中に依怙贔屓えこひいきおほく下の者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)