やすら)” の例文
赤裸々せきらゝに、眞面目まじめに、謙遜けんそんゐることの、悲痛ひつうかなしみと、しかしながらまた不思議ふしぎやすらかさとをもあはせて經驗けいけんした。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
就中なかんずく琵琶びわ堪能たんのうで、娘に手をひかれながら、宿屋々々に請ぜられて、やすらかに、親娘おやこを過ごすようになった。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
室香はお吉にいてより三日目、我子わがこゆだぬるところを得て気も休まり、ここぞ天の恵み、臨終正念しょうねんたがわず、やすらかなる大往生、南無阿弥陀仏なむあみだぶつ嬌喉きょうこうすいはてを送り三重さんじゅう
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
びんつたまゝつてへや四隅よすみつて、そこに一二滴づゝりかけた。斯様かやうきようじたあと白地しろぢ浴衣ゆかた着換きかえて、あたらしい小掻巻かいまきしたやすらかな手足てあしよこたへた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
壜を持ったまま、立って室の四隅へ行って、そこに一二滴ずつ振りかけた。斯様かように打ち興じた後、白地の浴衣ゆかたに着換えて、新らしい小掻巻こかいまきの下にやすらかな手足を横たえた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)