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大鼾
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おおいびき
ふりがな文庫
“
大鼾
(
おおいびき
)” の例文
もう一人のお客さんは、入り口の方に
倚
(
よ
)
りかかってこくりこくりやって
御座
(
ござ
)
ったが、やがて、アヴァランシュのような
大鼾
(
おおいびき
)
をかき初めた。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
其の降る中をビショ/\
担
(
かつ
)
がれて
行
(
ゆ
)
くうち、新吉は看病疲れか、トロ/\眠気ざし、遂には
大鼾
(
おおいびき
)
になり、駕籠の中でグウ/\と
眠
(
ね
)
て居る。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ようやくこれへお下りになったようなわけで……お
行水
(
ぎょうずい
)
を召されるやいな、
大鼾
(
おおいびき
)
をかいてお寝みになられていたものですから。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分のそばには運転手や助手達が三四人も
大鼾
(
おおいびき
)
で寝ていた。隆山は寝床に腹這ったまま手紙のようなものを書いている。
泣虫小僧
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
犢
(
こうし
)
の冷肉を一皿とクワス一本を
平
(
たい
)
らげてから、広大無辺な我がロシア帝国の地方によっては、よく言い草にされている、
謂
(
いわ
)
ゆる『
鞴
(
ふいご
)
のような
大鼾
(
おおいびき
)
』
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
▼ もっと見る
文覚は先程から船底にあって、木の葉に揺れる舟を心地よい
揺籠
(
ゆりかご
)
と心得たかあたりはばからぬ
大鼾
(
おおいびき
)
で、荒れ狂う海など知らぬ気に眠りつづけている。
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
遠慮を知らぬ金博士のことであるから、あわてるチーア卿を相手にせず、ごろりと横になると、
早
(
はや
)
ぐうぐうと
大鼾
(
おおいびき
)
。
共軛回転弾:――金博士シリーズ・11――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
我は北国の野人であると皮肉って、梅漬を実ながら十四五喰い、大どんぶり酒をあおり、
大鼾
(
おおいびき
)
して
臥
(
ふ
)
した等々の話があるが、これ等は恐らく伝説であろう。
賤ヶ岳合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
だが、大人達がラジオに気をとられているうち、さきほどまで声のしていた甥が、いつのまにか玄関の石の上に手足を投出し、
大鼾
(
おおいびき
)
で
睡
(
ねむ
)
っていることがあった。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
まず
媒妁人
(
なこうど
)
の七蔵をよび起して、今夜の首尾を確かめようと、彼女は更に次の間の障子をあけると、酔い潰れた七蔵は蚊帳から片足を出して
蟒蛇
(
うわばみ
)
のような
大鼾
(
おおいびき
)
をかいていた。
半七捕物帳:14 山祝いの夜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
草履
(
ぞうり
)
をはきちがえて、いや、めでたい、めでたい、とうわごとみたいに言いながらめいめいの家へ帰り、あとには
亭主
(
ていしゅ
)
ひとり、大風の跡の荒野に伏せる
狼
(
おおかみ
)
の形で
大鼾
(
おおいびき
)
で寝て
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「気の毒なことに、昨日まで床の上に起上がっていたが、今朝の騒ぎでとりのぼせたものか、まるっきり正体もありません。
大鼾
(
おおいびき
)
をかいて寝ている側で二番目娘のお半さんが介抱だ」
銭形平次捕物控:106 懐ろ鏡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もしこんなことを
女主人
(
おんなあるじ
)
にでも
嗅付
(
かぎつ
)
けられたら、
何
(
なに
)
か
良心
(
りょうしん
)
に
咎
(
とが
)
められることがあると
思
(
おも
)
われよう、そんな
疑
(
うたがい
)
でも
起
(
おこ
)
されたら
大変
(
たいへん
)
と、
彼
(
かれ
)
はそう
思
(
おも
)
って
無理
(
むり
)
に
毎晩
(
まいばん
)
眠
(
ね
)
た
振
(
ふり
)
をして、
大鼾
(
おおいびき
)
をさえ
発
(
か
)
いている。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
今日は
宵
(
よい
)
の内から二階へ上って寝てしまうし、小僧は小僧でこの二三日の
睡
(
ね
)
不足に、店の火鉢の横で
大鼾
(
おおいびき
)
を掻いている、時計の音と長火鉢の鉄瓶の
沸
(
たぎ
)
るのが耳立って、あたりはしんと真夜中のよう。
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
一方の典韋は、宵から
大鼾
(
おおいびき
)
で眠っていたが、鼻をつく煙の異臭に、がばとはね起きてみると、時すでに遅し、——
寨
(
とりで
)
の四方には火の手が上がっている。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兄さんは、まっさきに蒲団にもぐり込んで、
大鼾
(
おおいびき
)
をかいて眠ってしまった。こんなによく眠る兄さんを見た事が無い。僕は、ひと眠りしてから、また起きて、この日記をしたためた。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
これは横になるともう
大鼾
(
おおいびき
)
で、邪魔になるばかりで、何の役にも立たなかった。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
寝衣
(
ねまき
)
を
炬燵
(
こたつ
)
に掛けて置いて寒かろうからまア一ト口飲めと、義理にも云うのが
当然
(
あたりまえ
)
だのに、私が更けて帰ると、お母さんは寝酒に旨い物を
喰
(
た
)
べてグウ/\
大鼾
(
おおいびき
)
で寝て仕舞い、火が一つ
熾
(
おこ
)
ってないから
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今朝の顔は
腫
(
は
)
れぼったい。新緑の生々たる朝だ。かつて三方ヶ原の戦いのときでも、この浜松城の門を開け放しにして、敵の包囲軍を前に、
大鼾
(
おおいびき
)
で眠ってしまったほどな人だ。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
炬燵
(
こたつ
)
にはいって朝から酒を飲み、洋画家と共に、日本の
所謂
(
いわゆる
)
文化人たちをクソミソに言い合って笑いころげ、やがて洋画家は倒れて
大鼾
(
おおいびき
)
をかいて眠り、僕も横になってうとうとしていたら
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「何ですかじゃない。白昼、お庭で
大鼾
(
おおいびき
)
をかいて、眠っている奴があるか」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ほう、感心だのう。おれのうちの女房などは、晩げのめし食うとすぐに赤ん坊に
添寝
(
そいね
)
して、それっきりぐうぐう
大鼾
(
おおいびき
)
だ。夜なべもくそもありやしねえ。お前は、さすがに出征兵士の妻だけあって、感心だ、感心だ。」
嘘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
大
常用漢字
小1
部首:⼤
3画
鼾
漢検1級
部首:⿐
17画
“大鼾”で始まる語句
大鼾声