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塗
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つ
ふりがな文庫
“
塗
(
つ
)” の例文
……それに、言わるれば、
白粉
(
おしろい
)
をごってり
塗
(
つ
)
けた、骨組の頑丈な
嫂
(
あね
)
というのには覚えはあるが、この、島田髷には、ありそうな記憶が少しもない。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして奥の部屋へ、抱き上げてくると、衣服を出して、着かえさせたり、
摺
(
す
)
り
傷
(
きず
)
をあらためて、薬を
塗
(
つ
)
けたりして
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しばらくしてから、また八畳へ出て見ると、みんながお
召換
(
めしかえ
)
をやっていた。芳江が「あのお貞さんは手へも
白粉
(
おしろい
)
を
塗
(
つ
)
けたのよ」と大勢に
吹聴
(
ふいちょう
)
していた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
色白で円顔で、鼻高く唇薄く
臙脂
(
べに
)
を
塗
(
つ
)
けたように真紅である。そうしてその眼は切れ長であったが、気味の悪い三白眼で、絶えず瞳の半分が
上瞼
(
うわまぶた
)
に隠されている。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
何
(
ど
)
うしても始めて結う時は、油を
沢山
(
たんと
)
塗
(
つ
)
けないと旨い恰好に出来ませんからね、お
心持
(
こゝろもち
)
は悪うございますが、我慢して下さいまし、少しお痛うございましょう……さア出来ました
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
どうもあの婦人の様子がおかしいおかしいと思いました。あれは
偽
(
うそ
)
の白痴ですよ。偽の
婦人
(
おんな
)
ですよ。
白粉
(
おしろい
)
なんかをいやに
塗
(
つ
)
けてると思いましたが、今になって考えると、あれは男の顔ですよ
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
敬太郎が
石鹸
(
シャボン
)
を
塗
(
つ
)
けた頭をごしごしいわしたり、堅い足の裏や指の股を
擦
(
こす
)
ったりする間、森本は依然として胡座をかいたまま、どこ一つ洗う
気色
(
けしき
)
は見えなかった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「化粧に、顔へ
塗
(
つ
)
けるものさ。
鉛華
(
えんか
)
もあれば、
糯
(
もちごめ
)
の粉で
製
(
こしら
)
えたものもある」
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
燃えついたばかりの
燄
(
ほのお
)
に照らされた主婦の顔を見ると、うすく
火熱
(
ほて
)
った上に、心持
御白粉
(
おしろい
)
を
塗
(
つ
)
けている。自分は部屋の入り口で化粧の
淋
(
さび
)
しみと云う事を、しみじみと悟った。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
油
(
あぶら
)
を
塗
(
つ
)
けないでも面白い程自由になる。
髭
(
ひげ
)
も
髪
(
かみ
)
同様に
細
(
ほそ
)
く且つ
初々
(
うい/\
)
しく、
口
(
くち
)
の
上
(
うへ
)
を品よく蔽ふてゐる。
代助
(
だいすけ
)
は其ふつくらした
頬
(
ほゝ
)
を、両手で両三度撫でながら、鏡の
前
(
まへ
)
にわが
顔
(
かほ
)
を
映
(
うつ
)
してゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
油を
塗
(
つ
)
けないでも面白い程自由になる。髭も髪同様に細くかつ
初々
(
ういうい
)
しく、口の上を品よく
蔽
(
おお
)
うている。代助はそのふっくらした頬を、両手で両三度
撫
(
な
)
でながら、鏡の前にわが顔を映していた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「おい、もう少し、
石鹸
(
しゃぼん
)
を
塗
(
つ
)
けてくれないか、痛くって、いけない」
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“塗”の意味
《名詞》
(ぬり)塗ること。また、塗った物。
(ぬり)漆塗り。
(出典:Wiktionary)
塗
常用漢字
中学
部首:⼟
13画
“塗”を含む語句
朱塗
塗籠
塗抹
血塗
蝋塗
泥塗
塗料
糊塗
上塗
丹塗
塗師
漆塗
蝋塗鞘
塗香
塗付
塗板
紅殻塗
黒塗
溜塗
白塗
...