ごく)” の例文
旧字:
「三ごく一の嫁御よめごというこった。あんな器量きりょうよしは、まあ、かねのわらじをはいて、さがしても、ほかには二人ふたりとないというはなしだ。」
赤いガラスの宮殿 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すべての外国人に対して日本人に好感情を持たしめようとつとめられる博士は、相変らず食卓の談話に英独仏の三ごく語を使ひ分けて有らゆる愛嬌あいけう振撤ふりまかれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
有王ありおうが、故主の俊寛を尋ねて、都からはるばると九ごくに下り、そこの便船を求めて、硫黄商人の船に乗り、鬼界ヶ島へ来たのは、文治ぶんじ二年の如月半きさらぎなかばのことだった。
俊寛 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「三ごく干渉かんしょう遼東りょうとう還附かんぷ以来いらいうら骨髄こつずいてっしているんだ。理窟も糸瓜へちまもあるものか?」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
やあ 天ごくへゆくのか 地ごくへゆくのか わからない
おうさまは、戦争せんそうからおかえりなさると、そのうつくしいおきさきをおもらいになりました。三ごく一の美人びじんですけれど、まだおわらいになったことがありません。
春の日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「基康どの、僧都をあわれと思召おぼしめさば、せめて九ごくの端までも、送り届け得させたまえ」
俊寛 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
かれは、毎日まいにち毎日まいにち晩方ばんがたになると、徳利とくりをさげて、さけいにゆきました。しかし、三ごく一の花嫁はなよめは、いえ奥深おくふかくはいっているとみえて、一も、そのかおることができなかった。
赤いガラスの宮殿 (新字新仮名) / 小川未明(著)