図星ずぼし)” の例文
旧字:圖星
図星ずぼしだが、ストライキも前ほど魅力みりょくがなくなったね。今日ストライキで賃金をり上げる。すると明日は物価の方が、賃金値上高を
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかも総督府から指導のために出張した検事正や、警視連のゆびさす処が一々不思議なほど図星ずぼしあたる。各地の有力者が続々と検挙される。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これも図星ずぼしに当ったのは、申し上げるまでもありますまい。女は市女笠いちめがさを脱いだまま、わたしに手をとられながら、藪の奥へはいって来ました。
藪の中 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「いえ、そうでは御座いません、旦那様も御帰り遊ばす途中御嬢様の御病気の事を考えていらしったに相違御座いません」と婆さんずばと図星ずぼしを刺す。
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その席へ茶菓を運んでくるおつるの姿に接せんがため——ではないか? と忠相自身もわれとわが心中に疑いだしたある日、ずばりと泰軒が図星ずぼしをさした。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そない図星ずぼし刺されたらもうとぼけること出来でけしませんけど、そいでも真っ青になりながら黙ってますと、「きっとそうに違いないやろ? なんでそれいうてくれへん」
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
じっと考詰かんがえつめてしたことに図星ずぼしを指されて赤面して、もう続ける気持がなくなったそうです。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
ただいまも申しあげましたように、そのへんのことはちゃあんと図星ずぼし。いや、ちゃんと呑みこんでおります。あなたが土井さまのお家老だなんてことは、手前はなにも知らない。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
図星ずぼしをさされたろうといわんばかりに葉子はわざと鷹揚おうような態度を見せてこう聞いてみた。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「おかくしなすっていらっしゃるが、ひとつ、図星ずぼしててみましょうか」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ネネムはすっかり図星ずぼしをさされて、面くらって左手で頭をきました。
「あ、いけねえ!」僕は図星ずぼしをさされたような気がした。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
図星ずぼしをさされてわたくしすこしきまりがわるかんじました。
明智の推理が恐ろしい程図星ずぼしをさしていたからだ。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
先方むこうから察して、図星ずぼしを指したんです」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
てっきり図星ずぼしを指したつもりなのだ。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
「宇津木様、図星ずぼしでございますよ」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
多少図星ずぼしを指された気がした。
父の出郷 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
そこでもしやと思って親父の図星ずぼしを刺してみると果して「その通りだ。モウ勘弁ならん」と冷笑している。……これはいけない。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「これは私でなくては図星ずぼしを指す者は居ないのでございますが、この犯人は、かの憎むべき奇賊烏啼天駆の仕業しわざでございます」
これで一体あの建札の悪戯は図星ずぼしあたったのでございましょうか。それともまとを外れたのでございましょうか。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
日本一太郎にこういわれて、お駒は、図星ずぼしをさされたようにちょっとどぎまぎしながら
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と、いきなり、図星ずぼしをさして、合羽かっぱの片袖をうしろへはねた。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
葉子は図星ずぼしをさしたと思ってかさにかかって行った。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
弁信に図星ずぼしを指されて
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
図星ずぼし!」
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そして犯人はすぐさま図星ずぼしをさされるか、そうでないとしても、犯人のおおよその輪廓りんかくはきめられたものである。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
副院長に図星ずぼしを差された一刹那せつなに、電光のような超スピードで、ギラギラと恢復かいふくしてしまった私は、もう坐っている力も無いくらい、ヘタバリ込んでしまったのであった。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
図星ずぼし!」
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ただ「これはこうだナ」とか「それはそうだナ」とか感じた事が百発百中図星ずぼし的中あたっている事で、新聞記者が朝眼を覚ますと同時に「今日は何か事件の起りそうな日だな」と思ったり
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
やあ、そのとおり、それが図星ずぼしでございますよ。
こうした言葉を警察では図星ずぼしに信じてしまったらしい。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
と、ずばり図星ずぼしをさした。ベラントの愕き
図星ずぼしなんで……ヘエ。もっとも最初はじめからる気じゃなかったんで、みんながあの小僧は女だ女だって云いましたからね。仕事にかからせる前にチョット調べて見る気であすこに引っぱり込んだんで……ヘエ……」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
貞雄の云ったことは正に図星ずぼしだった。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
図星ずぼしの大犯人