品格ひん)” の例文
藤「だって誠に品格ひんい、色白な眉毛の濃い、目のさえ/″\した笑うと愛敬の有る好い男の身丈せいのスラリとした」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
次の間の長火鉢ながひばちかんをしながら吉里へ声をかけたのは、小万と呼び当楼ここのお職女郎。娼妓おいらんじみないでどこにか品格ひんもあり、吉里には二三歳ふたつみッつ年増としまである。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
髪は塵埃ほこりまみれてしらけ、面は日に焼けて品格ひんなき風采ようすのなおさら品格なきが、うろうろのそのそと感応寺の大門を入りにかかるを、門番とがり声で何者ぞと怪しみ誰何ただせば
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
実は先々月の中旬なかごろでござりました、夜更よふけにお茶の水橋を通りまして、品格ひんい、美麗うつくしい、お年紀としの若い御婦人が身を投げようと遊ばす処をあやうくお止め申したのが、もし、御隠居様
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
エヽ当今たゞいま華族様くわぞくさまとはちがひまして、今をること三十余年前よねんぜん御一新頃ごいつしんごろ華族様故くわぞくさまゆゑ、まだ品格ひんがあつて、兎角とかく下情かじやうことにはおくらうござりますから、何事なにごと御近習任ごきんじゆまかせ。殿
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
髪は塵埃ほこりまみれて白け、面は日に焼けて品格ひんなき風采やうすの猶更品格なきが、うろ/\のそ/\と感応寺の大門を入りにかゝるを、門番尖り声で何者ぞと怪み誰何たゞせば、吃驚して暫時しばらく眼を見張り
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
すると狂歌師きやうかしなか職人しよくにんれたら品格ひんが悪くなるだらうとこばんだものもあつたが、ナニ職人しよくにんだツて話が上手じやうずなら仔細しさいないとふ事で、可楽からくれてやらせて見た所が、大層たいそう評判ひやうばんよろしく
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
しきりになだめて居る処へ、門口から立派な扮装なりをして、色白な眉毛の濃い、品格ひんと云い容子ようすと云いずお旗下はたもとなら千石以上取りの若隠居とか、次三男とか云う扮装こしらえの武家がずっと這入って参り
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
話をして居ますると衝立ついたてかげからずいと出た武家さむらいは黒無地の羽織、四分一拵しぶいちごしらえの大小、胸高むなだかに帯を締めて品格ひんい男、年頃は廿七八でもありましょう、色白で眉毛の濃い口許くちもとに愛敬の有る人物が
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)