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す
其父、
戰ひて
(七三)踵を
旋さずして、
遂に
敵に
死せり。
呉公、
今又其子を
吮ふ。
妾、
(七四)其死所を
知らず。
是を
以て
之を
哭するなり
貫一は唯胸も張裂けぬ可く覚えて、
言は
出でず、
抱き
緊めたる宮が顔をば
紛り下つる熱湯の涙に浸して、その冷たき
唇を
貪り
吮ひぬ。宮は男の
唾を
口移に
辛くも
喉を
潤して
自分
妾狂しながら
息子の
傾城買を
責る人心、あさましき中にも道理ありて、
七の所業
誰憎まぬ者なければ、酒
呑で居ても
彼奴娘の血を
吮うて居るわと
蔭言され、
流石の
奸物も
此処面白からず
してヘーラの乳を
吮い不死の神力を
禀けしめた
起爲めに
(七二)之を
吮ふ。
卒の
母之を
聞いて
哭す。
人曰く、『
子は
卒にして
將軍自ら
其疽を
吮ふ。
何ぞ
哭するを
爲す』と。
母曰く、『
然るに
非ず。
往年、
呉公、
其父を
吮ふ。 ...
手の甲の血を
吮ひつつ富山は不快なる
面色して
設の席に着きぬ。
予て用意したれば、
海老茶の
紋縮緬の
裀の
傍に
七宝焼の
小判形の
大手炉を置きて、
蒔絵の
吸物膳をさへ据ゑたるなり。