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向顱卷
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むかうはちまき
「
豪え、
豪え。
其でもぬるけりや
羽目をたゝけ、」と
言ひながら、
濡手拭を、ひとりでに、
思はず
向顱卷で、
切ない
顏して
涙をほろ/\と
溢した。
その
眞下に、
魚屋の
店があつて、
親方が
威勢のいゝ
向顱卷で、
黄肌鮪にさしみ
庖丁を
閃かして
居たのは
偉い。
白帆あちこち、
處々煙突の
煙たなびけり、
振さけ
見れば
雲もなきに、
傍には
大樹蒼空を
蔽ひて
物ぐらく、
呪の
釘もあるべき
幹なり。おなじ
臺に
向顱卷したる
子守女三人あり。
へゞれけに
醉拂つて、
向顱卷で、
鍬の
拔けた
柄の
奴を、
夜警の
得ものに
突張りながら