古人こじん)” の例文
身體からだよわくおなりにつてからは、「湯豆府ゆどうふことだ。……古人こじんえらい。いゝものをこしらへていてくれたよ。」と、うであつた。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
古人こじんいはく近きをはかればたらざるが如く遠きに渡れば乃ち餘り有りと爲す我國わがくに聽訟ちやうしようを云ふ者大概おほむね青砥藤綱あをとふぢつな大岡忠相おほをかたゞすけの兩氏が明斷を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
古人こじんいわく「言者身之文也げんはみのぶんなり」と。日本のことわざにも「言葉は立居たちいをあらわす」というが、これはただしなや育ちを現すとの意でない、心持ちを知らすの意である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
古人こじん燭をとって夜遊ぶさ。今人こんじんの僕はこんな遊びをしている。あくどい、刺戟の強い、殺人淫楽的の遊びを!
鴉片を喫む美少年 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一、初学の人古人こじんの俳句を見て毫も解する能はざる者多しとなす。これ畢竟ひっきょう古句を見る事のすくなきがためなり。古句解すべからずとて俳句は学びがたしと為すに及ばず。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
銭勘定ぜにかんぢやうの事よりも記憶に散在してゐる古人こじんの句をばじつうまいものだと思返おもひかへすのであつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
翻憶古人樹下居 ひるがえっておも古人こじん樹下じゅげに居せしを(『楊岐法会語録』)
僧堂教育論 (新字新仮名) / 鈴木大拙(著)
これ発明はつめいにあらず諸書しよしよ散見さんけんしたる古人こじんせつ也。
すで古人こじんつた——物之最小而可憎者もののもつともせうにしてにくむべきは蠅與鼠はへとねずみである。蠅以癡。鼠以黠。はへはちをもつてしねずみはきつをもつてす其害物則鼠過於蠅そのものをがいするはすなはちねずみはへにすぐ其擾人則蠅過於鼠そのひとをみだすはすなはちはへねずみにすぐ……しかも驅蠅難於驅鼠はへをかるはねずみをかるよりもかたし
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なにゆえにおのれはこのことにつき、かく熱するかをとくと攻究したいのである。っては思案にあたわずと、古人こじんも教えている。るとは熱するのいいである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
……よくとしよりがつてかせた。——ひるがへつておもふに、おのづからはゞかるやうに、ひとからとほざけて、渠等かれら保護ほごする、こゝろあつた古人こじん苦肉くにくはかりごとであらうもれない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
黄白こうはくに至りては精励せいれい克己こっきむくいとして来たるものは決して少なくなかろう。古人こじんの言にあるごとく
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)