取替とりか)” の例文
それに間違っていれば、すぐ取替とりかえて来てもらわないと、折角せっかくここまで急いだ仕事が、またおくれるよ。急がば廻れ。念には念を入れということがある
もくねじ (新字新仮名) / 海野十三(著)
まるで取替とりかへるあたひがないとへばそれまでだ、——あゝ、それがために、旧通もとどほりおうらかくして、木像もくざう突返つきかへしたのか。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
取替とりかえて貰おう。」と、霎時しばらくして重太郎は自分の枝を出した。お葉も自分の枝を出した。春待顔はるまちがおに紅い蕾を着けた椿の二枝ふたえだは、二人の手によって交換されたのである。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
今日直ぐに書附かきつけ取替とりかわして美代吉だけを連れてきたいが御得心ごとくしんかえ
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あゝ、それがため足場を取つては、取替とりかへては、手を伸ばす、が爪立つまだつても、青いきれを巻いた、其の振分髪ふりわけがみ、まろがたけは……筒井筒つついづつ其のなかばにも届くまい。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
周玄は結納を取替とりかわし無理無体に約定をめて
用なしの身体からだゆえ、客人が其処そこへ寄って、路傍みちばたに立って、両方ともやたらに飛車ひしゃかく取替とりかえこ、ころりころり差違さしちがえるごとに、ほい、ほい、と言う勇ましい懸声かけごえで。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はつしやることちた……はやはなしが、ひとつてつたは、はらいたふなだで、うつくしい奥様おくさまとは取替とりかへぬ。……ひれてたうをい、かへしてると、うだんべい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
双方、彼等かれら取替とりかへて、御坊ごぼうは羽黒へ帰りついでに、其の武士さむらいつて行く、拙道せつどう一翼ひとつばさ、京へして、其の屑屋くずやを連れ参つて、大仏前のもちはさうよ——御坊の厚意は無にせまい。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)