初更しよかう)” の例文
初更しよかういたるや、めるつまなよやかにきて、粉黛ふんたい盛粧せいしやう都雅とがきはめ、女婢こしもとをしてくだん駿馬しゆんめ引出ひきいださせ、くらきて階前かいぜんより飜然ひらりる。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
初更しよかうの頃、甲板かふばんの長椅子にさふらふに、オルレアンやツウルあたりの野の雛罌粟コクリコの花の盛りの目に見えさふらうて私は泣き申しさふらひき。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
もつともわたしがからつたときには、うまからちたのでございませう、粟田口あはだぐち石橋いしばしうへに、うんうんうなつてりました。時刻じこくでございますか? 時刻じこく昨夜さくや初更しよかうごろでございます。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
風にもまれて暮したりやうやく五日のさる下刻げこくに及び少し風もしづまり浪もやゝおだやかに成ければわづかに蘇生そせいの心地してよろこびしが間もなく其夜の初更しよかうに再び震動しんどう雷電らいでん颶風ぐふうしきりに吹起ふきおこり以前にばいしてつよければふね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)