やまと)” の例文
由良が体をわるくして一しょにその芝居をしていたやまとの座を急に途中でぬけたとき、そのまゝ西巻は倭につれられて大阪へ下った。
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
また三尾みをの君加多夫かたぶが妹、やまと比賣に娶ひて、生みませる御子、大郎女、次に丸高まろたかの王、次にみみの王、次に赤比賣の郎女四柱。
キサキのやまと姫王ひめみこが、なか皇命すめらみことの資格において、りつぱに神と人とのあひだの仲だちをつとめてゐたからである。
鸚鵡:『白鳳』第二部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
李如梅の如きは、金甲のやまとを手ずから射殺すと云うから、日本軍の一隊長と渡合って之を倒しているわけである。
碧蹄館の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
秋津洲あきつしま磯城島しきしまやまと、みな大和平原における大きな村の名であった。他の村々の君主も、大体において、おなじような信仰組織を持って、村をべていた。
最古日本の女性生活の根柢 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
そうしてさまざまに新しさを追ったものの、時流には抗し難く、『釈迦八相記』(やまと文庫)『室町源氏』なども、ついにはかえり見られなくなってしまった。
明治十年前後 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
併し色が生白なまつちらけて眉毛がチヨロけて眼尻が垂れ、ちつと失礼の云分だがやまと文庫の挿絵の槃特はんどくに何処かてゐた。第一いやな眼付をして生緩なまぬるくちかれるとぞうつと身震が出る。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
いにしへよりやまと漢土もろこしともに、国をあらそひて兄弟あたとなりしためしは珍しからねど、つみ深き事かなと思ふより、悪心あくしん懺悔さんげの為にとてうつしぬる御きやうなるを、いかにささふる者ありとも
『かしこきやすめら御國みくにはうまし國うら安の國くにのまほくに』『百八十ももやそと國はあれども日の本のこれのやまとにます國はあらず』『天地のそきへのきはみぎぬとも御國みくににましてよき國あらめや』
愛国歌小観 (旧字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
やまと恋ひらえぬにこころなくこの洲の崎にたづ鳴くべしや(文武天皇)
万葉集の恋歌に就て (新字旧仮名) / 三好達治(著)
いざ児どもやまとへはやくしらすげの真野のはり原手折りてゆかむ 万葉 三
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
やまと鎌倉かまくらに譬へる
沖縄の旅 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
かれその御子をて遊ぶさまは、尾張の相津なる二俣榲ふたまたすぎ二俣小舟ふたまたをぶねに作りて、持ち上り來て、やまと市師いちしの池かるの池に浮けて、その御子をて遊びき。
ここに大國主の神まをしたまはく、「然らば治めまつらむさまはいかに」とまをしたまひしかば答へてのりたまはく、「をばやまと青垣あをかきの東の山のいつきまつれ
凡川内おおしこうちの國の造・額田ぬかた部の湯坐ゆえの連・木の國の造・やまとの田中のあたえ山代やましろの國の造・ウマクタの國の造・道ノシリキベの國の造・スハの國の造・倭のアムチの造・高市たけちの縣主・蒲生かもう稻寸いなき三枝部さきくさべの造たちの祖先です。