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はいとう
ふりがな文庫
“
佩刀
(
はいとう
)” の例文
関白が政宗に
佩刀
(
はいとう
)
を預けて山へ上って小田原攻の手配りを見せた
談
(
はなし
)
などは今
姑
(
しばら
)
く
措
(
お
)
く。さて政宗は米沢三十万石に削られて帰国した。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
近習の一人は、気を利かせたつもりで、小姓の持っていた忠直卿の
佩刀
(
はいとう
)
を彼に手渡そうとした。が、忠直卿はかえってその男を
斥
(
しりぞ
)
けた。
忠直卿行状記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
甲斐は半ば残っている杯の酒を、火にかざして眺めていたが、その眼をあげてふと、大和守のうしろに
佩刀
(
はいとう
)
を
捧
(
ささ
)
げている小姓に向けた。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
やんわり片手を飾り造りの
佩刀
(
はいとう
)
にかけたかと見えたが、果然、謎の宗十郎頭巾が折紙つけたごとくその態度が一変いたしました。
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
うむ、(きらりと
佩刀
(
はいとう
)
を抜きそばむると
斉
(
ひと
)
しく、藁人形をその
獣
(
けもの
)
の皮に投ぐ)やあ、もはや
陳
(
ちん
)
じまいな、
婦
(
おんな
)
。——で、で、で先ず、男は何ものだ。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
貝十郎否といわば、自身手を下して殺すとばかり、そういうと意次は
佩刀
(
はいとう
)
へ手をかけ、廻廊からユラリと庭へ下り立ち、お浦の方へ刻み足して進んだ。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
また仲間うちでも、のッぺり顔の
漢
(
おとこ
)
をえらんで、これには、宿元景の衣服
佩刀
(
はいとう
)
をそっくり体に着けさせる。そして
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして
根際
(
ねぎわ
)
になったところも
尽
(
ことごと
)
く内へ入って、前の盆のように
濶
(
ひろ
)
かった腫物とは思われなかった。そこで
羅
(
うすもの
)
の小帯から
佩刀
(
はいとう
)
をぬいた。その刀は紙よりも薄かった。
嬌娜
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
終
(
つい
)
には尊敬されて名主ともなり、また幕府からも大いに
賞
(
ほ
)
められて、
苗字
(
みょうじ
)
、
佩刀
(
はいとう
)
をも許されました。
伊能忠敬
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
言われぬの掛合のうちに政岑は
焦立
(
いらだ
)
って来、
佩刀
(
はいとう
)
をひきつけて片膝を立て、いまにも斬りつけるかという切羽詰ったようすになったので、主水も覚悟をきめたらしく
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
御腰物方から、東照宮伝来の
佩刀
(
はいとう
)
を頼まれたのは去年の夏、五兵衛に拵えを直させて、石川良右衛門の家へ持って来ると、ある夜泥棒が入って、それを
奪
(
と
)
られてしまいました。
銭形平次捕物控:072 買った遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして数日間
遠足留
(
えんそくどめ
)
を命ぜられていたが、後には平常の通心得べしと云うことになった。射撃したと答えたものの所へは、砲隊組兵卒に下横目が附いて来て、
佩刀
(
はいとう
)
を取り上げた。
堺事件
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
出府と同時に、本所法恩寺前の鈴川源十郎方に身をよせた左膳は、日夜ひそかに鉄斎道場を見ていると、年に一度の秋の大仕合に、乾雲坤竜が一時の
佩刀
(
はいとう
)
として賞に出るとの
噂
(
うわさ
)
。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
仕様書をひっくりかえしたような見積りをつくり、理屈と
佩刀
(
はいとう
)
にものを云わせたのだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
自身は
佩刀
(
はいとう
)
を抜いて身構えたまま生きた心地もなくぶるぶる
顫
(
ふる
)
えていたという。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
と、例の木訥な農夫は殆んど怒りを表はして斯う
詰
(
なじ
)
つた。すると駐在所の巡査は、群衆の陰から肩を聳やかして、
佩刀
(
はいとう
)
をガチャ/\いわせたのだ。半左右衛門はしどろもどろとなつたのである。
村のひと騒ぎ
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
政宗に自分の
佩刀
(
はいとう
)
を持たせて、後に従えさせてただ二人で小高き所に上り、いろいろ説明をきかせたのは、有名な話しである。
小田原陣
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そして、先夜の
佩刀
(
はいとう
)
を取りよせ、抜いて、上皇のお目にかけた。それは、
銀泥
(
ぎんでい
)
を塗った
竹光
(
たけみつ
)
であったのである。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
団兵衛が芝生の上へ端然と坐ると、光政は
佩刀
(
はいとう
)
を抜いてつっと背後へ回った。
だだら団兵衛
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
自分の
佩刀
(
はいとう
)
と差しかえて、残して行く刀は、千浪の手へ。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その上に、惣八郎は秘蔵の
佩刀
(
はいとう
)
の
目貫
(
めぬき
)
に、金の唐獅子の大きい金物を付けていた。それを彼は自慢にしているようであった。誰かに来歴をきかれると
恩を返す話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「それと、城内の
掟
(
おきて
)
でござるが、ご所持のもの、ご
佩刀
(
はいとう
)
などは、おあずかりもうせとのことでござりますが」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そういって、信長は
二文字国俊
(
にもんじくにとし
)
の
佩刀
(
はいとう
)
を与えた。
蒲生鶴千代
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
持っていた
柿団扇
(
かきうちわ
)
(軍配)の
紐
(
ひも
)
を
佩刀
(
はいとう
)
の環にくくり付けると、井楼の
雁木
(
がんぎ
)
に足を懸け始めた。小姓たちは、その尻を押し上げ押し上げ、
人梯子
(
ひとばしご
)
を重ね上げた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頼母は、すでに怪しい物音に気がつくと、手早く寝間着の上に帯を締め、
佩刀
(
はいとう
)
を引き寄せていたのである。
仇討禁止令
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
と叫んだ忠直卿は、膝に置いていた両手をぶるぶると震わせたかと思うと、どうにも堪らないように、小姓の持っていた
長光
(
ながみつ
)
の
佩刀
(
はいとう
)
を抜き放って、家老たちの面前へ突きつけながら
忠直卿行状記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そういって、それぞれに、黄金、時服、
佩刀
(
はいとう
)
などの賞を
頒
(
わ
)
かった。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は小姓の持っている
佩刀
(
はいとう
)
を取って、即座に両人を切って捨てようかと意気込んだが、そうした激しい意志を遂げる強い力は、この時の彼の心のうちには少しも残ってはいなかった。
忠直卿行状記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
金の唐獅子はあいかわらず惣八郎の
佩刀
(
はいとう
)
の
柄
(
つか
)
に光って、甚兵衛の気持を悪くした。
恩を返す話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
“佩刀”の意味
《名詞》
体に刀を身につけるすること。帯刀。
(出典:Wiktionary)
佩
漢検1級
部首:⼈
8画
刀
常用漢字
小2
部首:⼑
2画
“佩刀”で始まる語句
佩刀者