トップ
>
人世
>
じんせい
ふりがな文庫
“
人世
(
じんせい
)” の例文
恋に酔うとは、これを云うのかしら、わしは
人世
(
じんせい
)
嬉しさの絶頂に達し、痴人の如く、瑠璃子の顔を飽かず眺め入った。見れば見る程愛らしい。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
人世
(
じんせい
)
の複雑なる事実を取り来りてかくまでに詠みこなすこと、蕪村が一大俳家として芭蕉以外に一
旗幟
(
きし
)
を立てたる
所以
(
ゆえん
)
なり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
私は
今年
(
ことし
)
三十九になる。
人世
(
じんせい
)
五十が
通相場
(
とおりそうば
)
なら、まだ
今日明日
(
きょうあす
)
穴へ入ろうとも思わぬが、しかし未来は長いようでも短いものだ。過去って了えば実に
呆気
(
あッけ
)
ない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
これに就きても予はこれまでの実験上、ますます気象の
人世
(
じんせい
)
に最大関係あることを確認するを得たり、内地に於ける各種の企業者にして、しかも平地に於てすら
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
海
(
うみ
)
ならず
山
(
やま
)
ならぬ
人世
(
じんせい
)
の
行路
(
かうろ
)
難
(
なん
)
今
(
いま
)
初
(
はじ
)
めて
思
(
おも
)
ひ
當
(
あた
)
り
淵瀬
(
ふちせ
)
ことなる
飛鳥川
(
あすかがは
)
の
明日
(
あす
)
よりは
何
(
なに
)
とせん
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
この故に
無声
(
むせい
)
の詩人には一句なく、
無色
(
むしょく
)
の画家には
尺縑
(
せっけん
)
なきも、かく
人世
(
じんせい
)
を観じ得るの点において、かく
煩悩
(
ぼんのう
)
を
解脱
(
げだつ
)
するの点において、かく
清浄界
(
しょうじょうかい
)
に
出入
(
しゅつにゅう
)
し得るの点において
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
同情するような口振りもし態度もするけれど、心の底から同情するものはひとりもないのだ。思うようにゆかないのが
人世
(
じんせい
)
だなどと、社会の
悲劇
(
ひげき
)
を
慰
(
なぐさ
)
みものにしてさわいでる人間が多い。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
女房と
朝飯
(
あさめし
)
と——
何方
(
どちら
)
が
人世
(
じんせい
)
に関係する所が大きいだらうと疑つた者がある。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そしてあの
世棄人
(
よすてびと
)
も、遠い、微かな夢のように、
人世
(
じんせい
)
とか、喜怒哀楽とか、得喪利害とか云うものを思い浮べるだろう。しかしそれはあの男のためには、
疾
(
と
)
くに一切
折伏
(
しゃくぶく
)
し去った物に過ぎぬ。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
毘婆舎那
(
びばしゃな
)
の
三行
(
さんぎょう
)
に
寂静
(
じゃくじょう
)
の
慧剣
(
えけん
)
を
礪
(
と
)
ぎ、四種の
悉檀
(
しったん
)
に済度の法音を響かせられたる七十有余の老和尚、骨は俗界の
葷羶
(
くんせん
)
を避くるによって
鶴
(
つる
)
のごとくに
痩
(
や
)
せ、
眼
(
まなこ
)
は
人世
(
じんせい
)
の
紛紜
(
ふんうん
)
に
厭
(
あ
)
きて半ば
睡
(
ねむ
)
れるがごとく
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
併し理を以て
推
(
お
)
せば、これが
人世
(
じんせい
)
必然の
勢
(
いきほひ
)
だとして
旁看
(
ばうかん
)
するか、町奉行以下諸役人や市中の富豪に進んで救済の法を講ぜさせるか、諸役人を
誅
(
ちゆう
)
し富豪を
脅
(
おびやか
)
して其
私蓄
(
しちく
)
を散ずるかの三つより
外
(
ほか
)
あるまい。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
人世
(
じんせい
)
の
風波
(
ふうは
)
は思い
設
(
もう
)
けぬ方面より起る。小山の妻君熱心に
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「あれが
人世
(
じんせい
)
なのだ!」
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
その間には
人世
(
じんせい
)
と切り離す事の出来ない多少の不幸が相応に
纏綿
(
てんめん
)
しているらしく見えた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
博士が
忽然
(
こつぜん
)
と著名になったのは、今までまるで人の眼に触れないで経過した科学界という暗黒な
人世
(
じんせい
)
の
象面
(
しょうめん
)
に、一点急に輝やく場所が出来たと同じ事である。
其所
(
そこ
)
が明るくなったのは仕合せである。
学者と名誉
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“人世”の意味
《名詞》
人間の世の中。世間。
(出典:Wiktionary)
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
世
常用漢字
小3
部首:⼀
5画
“人世”で始まる語句
人世觀
人世上
人世観
人世問題