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享楽
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きょうらく
ふりがな文庫
“
享楽
(
きょうらく
)” の例文
旧字:
享樂
いや、鬼というものは元来我々人間よりも
享楽
(
きょうらく
)
的に出来上った種族らしい。
瘤
(
こぶ
)
取りの話に出て来る鬼は一晩中踊りを踊っている。
桃太郎
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
通つて来る二三人の家庭教師に
就
(
つ
)
かされてゐるが、実は父が家庭に於ける
享楽
(
きょうらく
)
生活に手不足を
来
(
きた
)
すのを、父は極力嫌つたためでもあつた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
よくまああれでやって行けると思えたが当人たちはそう云う面倒を
享楽
(
きょうらく
)
しているもののごとく云わず語らず細やかな愛情が交されていた。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「抜地獄」と称するこの寮の秘密を、お露は
故
(
な
)
き父から聞いて知っていたのである。が、彼女もその富を
享楽
(
きょうらく
)
する機会を与えられなかった。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
……ひょっとすると父は、自分が人生の「妙趣」をあまり永く
享楽
(
きょうらく
)
できないことを予感していたのかもしれない。四十二で死んだのである。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
▼ もっと見る
だからこれに対して
享楽
(
きょうらく
)
の
境
(
さかい
)
に達するという意味は、文芸家のあらわした意識の連続に随伴すると云う事になります。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ
侠
(
きゃん
)
な肌あいの中に、
濃
(
こ
)
い人情と強い恋を持つ深川のにおいが、
艶
(
なまめ
)
かしく、自分を絵の中につつみこんで、波の音までが
享楽
(
きょうらく
)
に和しているかと思われた。
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼等の愛人同士は、周囲に多くの人々が住んでる
環境
(
かんきょう
)
に居て、しかも無人島に居る二人だけの会話を会話し、二人だけの生活を自由に
享楽
(
きょうらく
)
していたのであった。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
あの人たちは、支那を
享楽
(
きょうらく
)
しに来るのです。そうして自分の国へ帰れば、支那通というものになる。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
冬という季節は窩人達にとっては
狩猟
(
しゅりょう
)
と
享楽
(
きょうらく
)
との季節であった。彼らは弓矢を
携
(
たずさ
)
えては熊や猪を狩りに行く。捕えて来た獲物を
下物
(
さかな
)
としては男女打ち
雑
(
まじ
)
っての酒宴を開く。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
第二は植物性食品はどう考えても動物性食品より
美味
(
おい
)
しくない。これは何としても否定することができない。元来食事はただ営養をとる為のものでなく又一種の
享楽
(
きょうらく
)
である。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「自殺したんだそうだ。桃色の
享楽
(
きょうらく
)
が過ぎて、とうとう思い出の古戦場でやっつけたんだ」
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
どうせ夢なら、その夢を一番有効に
享楽
(
きょうらく
)
してやろうと言った横着気が頭をもたげると、もう屋敷の名やこの私の名を訊ねて、女中を困惑させることは思い止まってしまったのです。
新奇談クラブ:07 第七夜 歓楽の夢魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
かような観念が失われたとき、娯楽はただ単に、働いている時間に対する遊んでいる時間、
真面目
(
まじめ
)
な活動に対する
享楽
(
きょうらく
)
的な活動、つまり「生活」とは別の或るものと考えられるようになった。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
享楽
(
きょうらく
)
手段の発達している事といったら、世界一と断言していいでしょう。
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
為
(
な
)
すべきことを失ったようなぼくは、あなたのことを、やっと具体的に考える機会に
恵
(
めぐ
)
まれた訳ですが、ぼくの心の
卑
(
いや
)
しさからか、遠すぎるあなたの代りは、身近くのあてもない
享楽
(
きょうらく
)
を求めて
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
……「
素朴
(
そぼく
)
な」人間の心を
喪失
(
そうしつ
)
している。都の人達はみんな利己主義です。
享楽
(
きょうらく
)
主義です。自分の利慾しか考えない。自分の享楽しか考えない。みんな自己本位の
狭隘
(
きょうあい
)
なる世界に
立籠
(
たてこも
)
っています。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
そこで、この財産を君の意志に反して、別の女との
享楽
(
きょうらく
)
に使おうとすれば、君を殺すよりない。そうすれば正式に結婚しているのだし、君には身よりもないのだから、全財産があの男にころがりこむ。
断崖
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
享楽
(
きょうらく
)
の流れに身を投ずることもできる。
傷心
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ただ事実として、ひとの死に対しては、美しい穏やかな味わいがあるとともに、生きている美禰子に対しては、美しい
享楽
(
きょうらく
)
の底に、一種の
苦悶
(
くもん
)
がある。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼はトンネルからトンネルへはいる車中の明暗を見上げたなり、いかに多少の前借の
享楽
(
きょうらく
)
を与えるかを想像した。あらゆる芸術家の享楽は自己発展の機会である。
十円札
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いずれにしても、彼らの働く意思は、食のためとか、
享楽
(
きょうらく
)
のためとか、それ以上に出ていなかった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
翌る日も、その次ぎの宵も——和泉屋は自分だけ知ってる秘密を
享楽
(
きょうらく
)
するのにいっぱいだった。
早耳三次捕物聞書:04 海へ帰る女
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「ひょっとしたら、安宅先生は世にも
贅沢
(
ぜいたく
)
な人生の
享楽
(
きょうらく
)
者なのではあるまいか」
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
銭形の平次は夕飯の膳を押しやって胸いっぱいの涼風を
享楽
(
きょうらく
)
している姿です。
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
打ったり
殴
(
なぐ
)
ったりしたという春琴のごときは他に類が少いこれをもって思うに幾分
嗜虐性
(
しぎゃくせい
)
の傾向があったのではないか稽古に事寄せて一種変態な
性慾
(
せいよく
)
的快味を
享楽
(
きょうらく
)
していたのではないかと。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
恐ろしい生活、しかし今日までさまざまの
享楽
(
きょうらく
)
を求めてきた身にとって、一面に於て、これほど異常なエクスタシーを与えてくれるものはなかった。これほど生命の価値を感じたことはなかった。
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それからの
享楽
(
きょうらく
)
を
妄想
(
もうそう
)
して、
夢中
(
むちゅう
)
で、合宿を引き上げる荷物も、いい加減に
縛
(
しば
)
りおわると、清さんが、「坂本さん、今夜は、家だろうね」とからかうのに、「
勿論
(
もちろん
)
ですよ」こう照れた返事をしたまま
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
悪貨
(
あっか
)
濫発
(
らんぱつ
)
が、いかに正直な細民生活を、底の底までへ、みじめに、突き落しているか、幕府の一部大官たちのみに、いよいよ
飽慾
(
ほうよく
)
享楽
(
きょうらく
)
の資をゆたかにさせているか、赤穂の田舎にいても
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
男の方にはヘロイズムがなくなって
享楽
(
きょうらく
)
生活を非常に重要視している。
新時代女性問答
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
“享楽(
快感
)”の解説
快感(かいかん、el: ἡδονή, 、la: voluptas、en: pleasure)は、気持ち良いと感じる事。快楽(かいらく)、享楽(きょうらく)とも。喜び・幸せ・満足等の感情と密接に結びついている。
(出典:Wikipedia)
享
常用漢字
中学
部首:⼇
8画
楽
常用漢字
小2
部首:⽊
13画
“享楽”で始まる語句
享楽者
享楽児
享楽主義
享楽生活