たげえ)” の例文
「仕事の手をゆるめて怠ける算段ばかてけツかる、たげえに話ヨ為て、ズラかる相談でも為て見ろ、明日ア天日が拝め無えと思え」
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
お前は重三さんを死んだと思ったのが、たげえにたすかってゝ、うてえくれえ目出度めでてえ事はねえから、何もつにゃアあたらねえ、誠に妙なわけだ
そういやあ作平さん、お前さんの鏡研かがみとぎも時代なものさ、おたげえに久しいものだが、どうだ、御無事かね。二階から白井権八の顔でもうつりませんかい。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
で、お前と己とは、言わばたげえに持ちつ持たれつで、しっかりくっついていなきゃいけねえ。そしてどんなことがあろうと首が助かることにしようぜ。
「さうすりやはあ、おたげえにえゝ鹽梅あんべえきずもつかねえんだから、れもさうはおもつちやんだが、れ、いふのもをかしなもんで」卯平うへいほゝにはやゝべに
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
己の事を云やア他人ひとが嫌がって居るくれえだからナ、其方そっち強身つよみよ、さア兄弟分きょうでいぶんの固めをして、おたげえにのう
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まさにその黒犬ブラックドッグが昔の船友達のビリーに逢いに来たのさ、『ベンボー提督アドミラル・ベンボー屋』へな。ああ、ビル、ビル、おたげえにずいぶんといろんな目に遭ったものだな、己がこの二本指を
いじゃねえか、おたげえだ。こんな処へ来て何も、向う様だって遠慮はねえ。大家様の隠居殿の葬礼ともれいに立つとってよ、町内が質屋で打附ぶつかったようなものだ。一ツ穴の狐だい。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そんぢやれもこまつから其處そこはおたげえにかうものはねえことにしてやつてくんなくつちやなあ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
えゝゝ毎日めえにち膳が並ぶとおたげえに顔を見合せて、御飯おまんまを喰ってしまうと部屋へへいってごろ/\寝るくれえの事で仕様がごぜえやせんな、夜になると退屈てえくつで仕様が有りませんが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
たげえたねえことにしてね、勘次かんじさんおめえもいそがしくつててえつけねえでたかもんねえが、かうぢしほまでつてるつちんだから、あとまめるだけのことだし、味噌みそくことにしてな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
手前てめえ殺したと打明けて云えよ、手前の悪事を、己は兄分あにぶんだから云う気遣きづけえはねえ、おたげえに、悪事を云ってくれるなと隠し合うのが兄弟分きょうだいぶんのよしみだから、是っぱかりも云わねえから云えよ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
甚「おたげえに悪い事もい事も打明けて話し合うのが兄弟分だ、いゝか」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)