主家しゆか)” の例文
十露盤玉そろばんだま筆先ふでさき帳尻ちやうじりつくろふ溝鼠どぶねづみのみなりけん主家しゆか一大事いちだいじ今日こんにち申合まをしあはせたるやうに富士見ふじみ西行さいぎやうきめ見返みかへるものさへあらざれば無念むねんなみだ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かけなば兄弟のいのちたすかる共嘉川の家は滅亡めつばうならんにより此上は最早是非もなし心にそまぬ事なれ共すけ十郎郷右衞門ら兩人をつみおと主家しゆかの滅亡をすくはんとよんどころなく愚案ぐあん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それがある事情じじやうめに明言めいげんすること出來できず、さりとて主家しゆか大難だいなんらぬかほ打※うちすぎるにもしのびで、かくは縁起話えんぎばなし托言かこつけて、その出發しゆつぱつとゞめたのかもれぬ。とかたつた。
思はざりき、主家しゆかたふ城地じやうちほろびて、而かも一騎のかばねを其の燒跡やけあとに留むるものなからんとは。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
女中頭は主家しゆかに帰つて来た。そしてもぢもぢしながら口を切つた。
平和の時こそ、供花燒香に經を飜して、利益平等りやくびやうどうの世とも感ぜめ、祖先十代と己が半生の歴史とをきざみたる主家しゆかの運命なるを見ては、眼を過ぐる雲煙うんえんとは瀧口いかで看過するを得ん。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
請出す事もかなはず一日々々と申延置のべおきうち彼方かのかたにては流れ買に賣拂うりはらふと申事に御座候然るに十八ヶ年以前國許くにもとに在し時同家中の新藤市之丞と申者若氣わかげ過失あやまりにて同藩の娘と不義に及びしこと役人共の耳にいり主家しゆかの法に依て兩人とも一命を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)