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愚案
掛なば兄弟の
命は
助る共嘉川の家は
滅亡ならんにより此上は最早是非もなし心に
染ぬ事なれ共
佐十郎郷右衞門ら兩人を
罪に
落し
主家の滅亡を
救はんと
據ころなく
愚案を
愚案ずるに、がばりは
雪を
切る
音なるべし。
貫くは
劔難の相にて三十日
立ざる内に
刃に
掛り
相果るの相なり斯る
不徳の
凶相にして將軍の御子樣とは存じ奉り
難し越前守が
思考には御品は實なれど御當人に於ては
何とも
怪しく存ずるなり
愚案は
御目鏡には
背き候へども
何卒此御身の上は今一
應越前へ
吟味を