世渡よわた)” の例文
騙詐かたり世渡よわた上手じやうず正直しやうぢき無気力漢いくぢなし無法むはう活溌くわつぱつ謹直きんちよく愚図ぐづ泥亀すつぽんてんとんびふちをどる、さりとは不思議ふしぎづくめのなかぞかし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
読者のなかには、僕のいうことがはなはだ子供らしい、迂遠うえんなことだ、世渡りの道を知らぬとなじる人もあろう。僕も甘んじていわゆる世渡よわたりの道にうときことを自信する。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
それより両国尾上町りやうごくをのへちやう京屋きやうや楼上ろうじやう集会しふくわいする事十とせあまり、これを聞くものおれれに語り、今は世渡よわたるたつきともなれり、峨江がこうはじめさかづきうかめ、すゑ大河たいがとなるはなしすゑ金銭きんせんになるとは
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
やさしいかたなれば此樣こんづかしいのやうの世渡よわたりをしておいでならうか、れもこゝろにかゝりまして、實家じつかたび御樣子ごやうすを、もしつてもるかといてはまするけれど
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
戦争だけを見つめ、戦争だけを信じ、身も心も戦争の中へ投げこめと教えた。そしてそのように従わされた。不平や不満は腹の底へかくして、そしらぬ顔をしていないかぎり、世渡よわたりはできなかった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
わたしんならきことありともかならず辛抱しんぼうしとげて一人前にんまへをとこになり、とゝさんをもおまへをもいまらくをばおまをします、うぞれまでなんなりと堅氣かたぎことをして一人ひとり世渡よわたりをしてくだされ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)