“掏摸”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
すり90.9%
1.8%
スリ1.8%
0.9%
スラ0.9%
すら0.9%
すりて0.9%
ちぼ0.9%
とうべえ0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かげ名誉めいよたすかった。もう出発しゅっぱつしましょう。こんな不徳義ふとくぎきわまところに一ぷんだってとどまっていられるものか。掏摸すりども墺探おうたんども
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
退屈男は、軽く微笑しながら掏摸る機会を与えるように、わざと女の側へ近よると、懐中ぽってりふくらんでいる路銀の上をなでさすりながら、誘いの隙の謎をかけました。
「そんならそうと、何故なぜ君は云わないんだ。そいつが掏摸スリの名人かなんかで、猿を抱きあげるとみせて、手提バッグから問題の燐寸をっていったに違いない——」
流線間諜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
掏摸る者はなお一さうの修錬を要し、敏活機敏、心の構へ、狙ひ、早業、鋭利なる刃物の如く磨かれた人物が完成する、県民皆々油断なく、油断のならぬ人物となり
総理大臣が貰つた手紙の話 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
技術は名人のほまれ高く、如何なる名手といへどもこの人を掏摸るあたはず、如何ほど要心を怠らなくともこの人にかかつては掏摸スラれてしまふといふ老練の巧者を据えるのが宜しからう。
総理大臣が貰つた手紙の話 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
落したのか掏摸すられましたのか、さっぱり分らないのでござります。
「我が身は掏摸すりての係りでしてな」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
掏摸ちぼに金を取られまいぞ。」斯う言つた父の言葉が思ひだされた。父は一年おきか二年おきには京都へ行つた。そして帰つて私達に京都の話をする時にはいつも掏摸すりの話をして聞かせた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
……掏摸とうべえもなければ、ゆすり、空巣狙しろたび万引にざえもん詐欺あんま……なにひとつない。御番所も詰所も、まるっきし御用がなくなって、鮒が餌づきをするように、あくびばかりしているんでございます