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びやうき
一
向きに
病氣とばかり
思ひぬれば、
與四
郎限りもなく
傷ましくて、
醫者にかゝれの、
藥を
呑めのと
悋氣は
忘れて
此事に
心を
盡しぬ。
勘次はお
品が
病氣に
罹つたのだといふのを
聞いて
萬一かといふ
懸念がぎつくり
胸にこたへた。さうして
反覆してどんな
鹽梅だと
聞いた。
兄が
一人あつたが
戦地へ
送られると
間もなく
病気で
倒れ、
父は
空襲の
時焼死して一
家全滅した
始末に、
道子は
松戸の
田舎で
農業をしてゐる
母親の
実家へ
母と
共につれられて
行つたが
良さん
学校が
御試験中だと
申すではございませんか。アヽ
左様。それに
妾の
処へばつかし
来て
居らしやつてよろしいんですか。そんな
事まで
気にするには
及ばない
病気の
為にわるいから。